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合コンが始まってすぐ張本は小野寺の筆談をイジった。

「平安時代の恋文かいな‼️」

小野寺は黙ってメモ帳に〈よろしくお願いします〉と書いた。美しい字だった。女たちが「かわいい」と身を乗り出したので、張本は危機を察知し、額から汗を垂らし、頭皮を光らせた。

「こいつ喋れん代わりに、服がめっちゃ喋るからな‼️今日も“実家が太いです”言うてる」

小野寺は古い黒のジャケットを着ていた。張本はその袖をつまみ、「雑巾に襟つけたん❓」と笑ったが、女の一人が「アーカイブっぽくて素敵」と言った。張本は聞こえなかったふりをして枝豆を皮ごと食べた。

小野寺が紙に女の似顔絵を描くと、また歓声が上がった。

「いやいや、顎長すぎやろ‼️悪意あるでこいつ」

似顔絵の女は小野寺の肩を叩いて笑った。張本は突然テーブルの中央を片づけ始めた。

「男は腕力や‼️小野寺、腕相撲するで‼️」

「なんで?」と女たちが言った。

小野寺は〈三回目〉と書いた。

張本は右腕を出した。勝つと張本は立ち上がり、「これが現実や‼️」と吠えた。誰も拍手しなかったので、自分で二回拍手した。

帰り際、女たちは小野寺と連絡先を交換した。張本は入口でまた腕を差し出した。

「最後、決勝やっとく❓」

小野寺は少し考え、〈張本の優勝でいい〉と書いた。

張本は満足そうに頷いた。その晩、彼が持ち帰ったのは、腕相撲大会の優勝と、全員分の会計だった。
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