大陸歴30xx年。地球は原初の海と一つの大陸が僅か息をしていた。
大陸は数千年前に一つに合体され、一つの社会主義国家が治めていた。
名を、「ユーリカ」。
技術、科学、情報文明。発展した其れが、今現在の世界の全てだ。
植物は死に絶え、化石燃料は底を尽き、社会は配給制の人工物で回っている。
ゼリー状の人工食物等に穀物は取って代わられ、滅多に採取できない鉱物や燃料も大凡全て人工物で代替。配給される生活必需品のお陰か戦争や争奪は起き得無い。
人以外との交配も可能となり、俗的な人外も数多存在している。
言語や政治は統一され不自由無く、同時に思考や個人意志は尊重された、全て情報により完結する資源不要文明。

其のユーリカ、数年前から異常事態が発生している。
突如としてこの世界に現れた「魔女」の存在。
奴らは謎に包まれ、分かっている事は“子供を攫い、「病人」へと変貌させる”のみ。
「病人」とは、【魔女の病】と呼ばれる、高度科学技術が当然の現在でも治療法が見つからず、それどころか今迄に発見された事も無い症例が数多く列挙される奇病を、後天的に患わされた者の総称である。
故に、価値ある人的財産に大きな傷がついているのだ。
そこで現れた「死神」の存在。
奴等もまた謎多き存在だが、唯一理解できるのは“「病人」を救う”行為が見受けられる事。
「魔女」と敵対する奴等は、敵の敵は味方の理論的に味方だと結論づけられた。