ミナコイチャット

「ルーム:S3Yg518 小説部屋2」の過去ログ

現在のルーム
過去ログ一覧


2020年05月11日 23時10分 ~ 2023年09月18日 20時28分 の過去ログ
過去ログでは上から下の方向に発言を表示しています

おしらせ新規ルームを作成完了しました。(Android 125.197.***.21)  (2020/5/11 23:10:41)

おしらせさわさんが入室しました♪  (2020/5/12 00:20:20)

さわとりあえずの~   (2020/5/12 00:20:36)

おしらせさわさんが退室しました。  (2020/5/12 00:20:39)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/12 19:48:32)

おいら知らないかもしれないが、私、見聞りすなは中卒である。それから今日この頃までいくつものアルバイトを掛け持ちしてきたわけだが、このほんの数年の間にそれなりの修羅場はくぐり抜けてきたつもりである。その中でLINK VRAINSでの『いたちごっこ事件』を経て思い出した1つの事件がある。これはそんな『鬼ごっこ』のお話。   (2020/9/12 19:54:25)

おいら「よ、よろしくお願いしますっ」 あの日は確か、警備のアルバイトの初日だった。警備服に着替えた私が警備室のドアを開けると、目に飛び込んできたのは人の頭だった。いや、正しくは頭を通り越した背中だった。 「こちらこそよろしくお願いします。潮(うしお)さん、ですよね」 「はい、潮です、今日から一緒に働きますっ」 「見聞りすなです。潮さん、頭を上げてください」 自己紹介の間もずっと下げっぱなしだった頭を潮さんは勢いよく上げた。前髪と深く被った警備帽から覗いた顔には、しまったと言わんばかりの焦りと不安が詰まっていた。垂れた黒い目はそれをより強調している。 「す、すみませんっ」 「謝ることはないですよ。初めてお会いするんですから、緊張するのは当たり前です」 「そ、そうですよね。でも、見聞さんしかいないと思うと、不安になってしまって」   (2020/9/12 20:06:00)

おいらこのビルは警備が急に不足してしまったらしく、なんと警備はアルバイトの潮さんと私だけだ。事前にお互いの名前と仕事内容は聞いていたが、職種柄、潮さんが不安になるのも分かる。 「あっ、見聞さんが頼りないってわけではないんです。ただほら、ここってお嬢様のビルじゃないですか。だから僕達だけで守りきれるのかなって…」 街中にある普通のビル、しかしこのビル、お金持ちの家の所有物で、しかもお嬢様が住んでいるというのだから驚きだ。その警備を任されているのだから、確かに荷が重くはある。   (2020/9/12 20:14:26)

おいら「大丈夫ですよ。守りきるなんて大げさなことじゃありません」 「大げさじゃないですよ、だってお嬢様ですよ、お嬢様」 不安の中に興奮の混じった様子で潮さんは訴えた。未だドアを隔てて警備室の中と外で繰り広げられている会話。そろそろ私が警備にあたる時間だな、と思う。警備は夜だけで、私と潮さんの交代制だ。 「あの、潮さん」 私の一言で潮さんも気づいたらしく、 「あ、そうですよねっ」 と、ようやくドアの前からどいてくれた。と思ったら、懐中電灯を片手に持ってきて、私に手渡した。 「気をつけてくださいっ」 結局私は警備室に入ることなく、警備に向かったのだった。   (2020/9/12 20:22:04)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/12 20:22:12)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/12 20:45:08)

おいら再び警備室に戻った時には、潮さんは椅子に座ってぐっすり寝ていた。ドアを開けた瞬間 「お疲れ様ですっ」 と勢いよく頭を下げられるのかと思ったのだが、もうずいぶんな時間だ、彼も眠気には勝てなかったらしい。防犯カメラの映像チェックも仕事の内なのだが、潮さんの様子を見るに、カメラは静止画しか映さなかったようだ。 「潮さん、起きてくださ」 「うわあああ、」 潮さんを起こそうと肩に触れた瞬間、彼は勢いよく飛び跳ねた。彼のちょこんと短く結われた黒髪も一緒に飛び跳ねる。潮さんは周りを見回し私を認識すると、状況を理解したらしく、 「いってきますっ」 と警備室を飛び出していった。ちゃんと片手に懐中電灯を持って、だ。変なところでしっかりしているなあ、などと感心しながら、さっきまで潮さんが寝ていた椅子に座り、防犯カメラの映像をチェックする。丁度、潮さんが廊下を通り過ぎた。確かにこれは眠くなりそうだ。   (2020/9/12 20:57:10)

おいらしばらく経った時だった。とうに見飽きていた画面の1つが一瞬光った。気のせいだろうか。瞬間、隣の画面で何かが光る。青白い光。不審に思って画面を凝視するも、人影らしきものは見当たらない。けれど、念のためだ。私はコートに袖を通すと、懐中電灯を手にとって、先程光が映った階へと向かった。   (2020/9/12 21:02:46)

おいら建物内は薄暗く、廊下は懐中電灯が無ければ一歩先も見えないようだった。自分の足音だけが響く。防犯カメラを見上げてみるが、特に異常はない。一通り確認し、警備室に戻ろうとした時だった。懐中電灯が人影を照らした。照らし出された少女はこちらを見て驚いた様子だったが、私は心臓が止まった。少女を見たためではない。少女の背後にガスマスクを見たのだ。ガスマスクの手元が青白く光る。瞬間、私は少女に手を伸ばしていた。バチッ、という音と共に少女が振り向く。その時には掴んでいた少女の腕を思いっきり引いた。青白い光、否、電流が宙を掠める。足が床を蹴った。   (2020/9/12 21:14:10)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/12 21:14:14)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/12 21:29:55)

おいらもつれそうになる足を必死に動かし、駆ける。後ろを振り向くこともままならないが、凄い勢いで迫ってきているのが分かった。廊下の角を曲がり、エレベーターのボタンを押す。 「急いで!!」 振り向きながら、自分でも驚くほどの大声が出た。少女の腕は掴んだままなので、誰を急かしているのかわからない。それほどに焦っていた。しかし、少女の顔を見て、頭が冷やされる。少女の表情は怯えを滲ませながらも、極めて冷静でいようとする堂々たるものだった。私が焦ってはいけないと認識するには充分だった。   (2020/9/12 21:37:45)

おいらエレベーターの扉が開くと同時に滑り込み、閉めるボタンを連打する。扉が閉まった瞬間、扉に衝撃が走り、エレベーターが大きく揺れた。だがエレベーターは、何事もなかったように下へと降りていく。肺から息がどっと出た。 「大丈夫ですか」 少女の腕をようやく放し、声を掛けた。空色の長い髪をカチューシャのように編み込んだ少女は、暗いところよりも大人びて見えた。 「ええ」 透き通った声がエレベーター内に響く。刹那、爆発のような音と共に体が揺れる。少女も私も思わず床に手をついた。   (2020/9/12 21:46:01)

おいらガスマスクが、エレベーターの上に着地したのだ。ということは、扉を力ずくでこじ開けたことになる。このビルのエレベーターは電気で動いているのでロープが切れることはないだろうが、それでもエレベーターが落ちてしまいそうなくらいに大きく揺れ続ける。それでも少女は努めて落ち着いていた。しばらく経つと、ガスマスクは諦めたのか、揺れが収まった。壁を蹴るような音が遠ざかっていく。実際、壁を蹴って上に伝っていったのだろう。何という身体能力だ。再び大きく息を吐くと、非常ボタンを押した。ややあって扉が開くと、そこには見慣れた不安げな顔があった。 「見聞さん…!?どうしたんですかっ!?それにその女の子は…?」   (2020/9/12 21:55:54)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/12 21:56:01)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/13 10:32:01)

おいら私達は少し離れたホテルへと移動した。あのままビルにいては危険という判断のためであった。そしてもう1つ、あることが分かったからである。 「改めて自己紹介致します。五十嵐想(いがらしあい)と申します」 五十嵐と名乗った少女は、何を隠そう、あのビルのお嬢様だったのだ。 「ほええ…何でお嬢様が狙われていたんですか」 潮さんが間の抜けた声で聞く。それは私も知りたいところだが。 「先程も言った通り、襲われるようなことをした覚えはありません」 「そ、そうですよね…。すみません。でも、ガスマスクで両手にスタンガンなんて怖すぎますよ…」 潮さんには経緯を話してある。最初は驚き不安そうにしていたが、ホテルまで車で移動してくれた。移動中にガスマスクが追ってくることがなかったのは幸運だろう。普通なら警察沙汰だが、普通ではない事情があった。   (2020/9/13 10:44:47)

おいら「りすな、潮。先程の話の続きです。家出のことですが」 そう。私が真夜中にビルでお嬢様と出会ったのは偶然ではなく、お嬢様の家出に出くわしたためであったのだ。 「もちろん、警察沙汰にはしたくありません。家出をしようとしたことがばれてしまいますからね」 口調こそしっかりしているが、言っていることはなんとも子供っぽい。平然と言ってのけるあたりお嬢様らしいが、ガスマスクに襲われた時の落ち着きぶりといい、一般的なお嬢様のイメージとは違う。   (2020/9/13 10:51:36)

おいら「そこで、私(わたくし)からの提案です。二人には私の家出の手伝い、そして私の護衛を任せます」 「え、ええっ!?」 潮さんがひっくり返りそうなほど驚く。私も事実驚いていたが、無理もない。警備のアルバイト二人に提案するには、それはあまりにも無理が過ぎていた。 「五十嵐さん。失礼ですが、その提案は受けられません。1つ目の家出を手伝うというのは、私達の立場上難しい提案です。そして2つ目、護衛というのはさらに難しいです。私達は警備で雇われた身、そこまでの力はありません。何より五十嵐さんを危険に晒してしまいます」 私がそういうと、五十嵐さんは目をぱちくりとさせ、何を思ったのか笑い出してしまった。思わず潮さんと目を合わせる。 「ふふふっ…そうですね、りすなの言う通りです。こんなにはっきり人に言われたのは久しぶりですね。お嬢様、お嬢様と言われて育ってきたものですから。叱ってくれる者も一人しかいなかったので。…少し、身の上話をしてもよいでしょうか」 一瞬曇った五十嵐さんの表情を見て、私は自然と頷いていた。それを確認すると、五十嵐さんはそっと話し出した。   (2020/9/13 11:05:14)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/13 11:05:20)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/13 12:00:12)

おいら「…物心ついた時から、一緒に居た人がいます。彼女は私の専属のメイドでした。母は他界しており、父は仕事で家にいません。使用人は何人かいましたが、彼女だけが私の家族でした。彼女とはよく話し、よく遊び、よく叱ってくれました」 「先程のりすなのように」と五十嵐さんは私に笑みを向けて、また話し出す。 「そして彼女は半年前、メイドを辞めました」 ここで彼女は初めて目線を落とした。 「新しいメイドはよく尽くしてくれましたが、私の心は晴れませんでした。ずっと一緒に居てくれると言ったのに、何で。その答えはすぐに分かりました。使用人達が噂をしているのを聞いたのです。五十嵐家の跡継ぎになるであろう一人娘に悪影響を与えるという、父の独断でした」 顔を上げた彼女の澄んだ瞳は揺れていた。 「たったそれだけの理由で、私と彼女の十数年の絆は切られてしまったのです。…たった、それだけの理由で」   (2020/9/13 12:13:05)

おいら私も潮さんも、粛然として話を聞いていた。五十嵐さんの凛とした態度が、逆に胸を締め付けた。 「私が家出を決めたのはそのためです。父が嫌になったからではありません。彼女を連れ戻すためです。彼女に、想いを伝えたいのです」 そこで彼女は言葉を区切った。 「…ここからが先程の話です。りすな、潮。二人に私の家出の手伝い、そして私の護衛を任せます。これはお嬢様からの提案ではありません。五十嵐想からの頼みです」 …そんなの。少しの沈黙を破ったのは、潮さんだった。 「…ず、ずるいですよ。そんなの」 全くだ。家出の手伝いなんて、ましてや護衛をしながらなんて突飛なことを平然と。けれど、そんな言い方をされたら。そんなところに惹かれてしまったら。 「…五十嵐さん。私達はただの警備のアルバイトです。ましてや相手は、正体不明の身体能力者。警察に任せるのが普通です」 「はい」 「…守りきれるか、わかりませんよ」 そんなの、断れないじゃないか。 「そんなことは百も承知です」 こうして私達は、家出を完遂させるまで護衛をするという、おかしな関係を結んだのであった。   (2020/9/13 12:26:09)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/13 12:26:15)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/14 19:55:52)

おいら「ところであの、お嬢様。前のメイドさんはどこにいるんですか?」 ガスマスクがこのホテルの場所を特定した場合の逃走経路を考えている時にそう切り出したのは潮さんだった。 「わかりません」 「ええっ!?」 薄々気づいてはいたが、やはりというべきか、お嬢様は後先を考えていなかったらしい。さらりと言い切った。 「私が前のメイドの居場所を調べたりしては、使用人や父に怪しまれるでしょう」 「そ、そんなあ…。じゃあこれからどうするんですか?」 「潮さん、それを今考えているんですよ」 「潮もしっかり頭を動かしてください」 「ぼ、僕が悪いんですか!?」 頭を抱える潮さんを横目に、部屋周辺の見取り図を五十嵐さんと眺める。 「やはりこの経路が最善かと思われます」 「りすなはしっかりしていますね。メイドに迎えてもよいくらいです。今のメイドは少し抜けているところがあって」 くすくすと笑う五十嵐さんを見て、今のメイドもきっと良い人なんだろうなと思う。それでも、家出をしてまでも探し求める前のメイドへの並々ならぬ思いを感じていた。   (2020/9/14 20:09:57)

おいら「では次に、この後の行動についてですが」 と話が移った時だった。その声を掻き消すように窓ガラスが割れた。反射的に窓を見上げると、風になびくカーテンの間に見えたのは。黒いブーツ、黒い布を纏い、両手にスタンガン。フードから覗くはガスマスク。 「こ、ここ8階ですよ…!?」 「いきますよ!!」 驚く潮さんを遮るように一喝する。と同時に、五十嵐さんとガスマスクが動いた。隣の部屋に走った五十嵐さんを追うには、ガスマスクの動きは直線的すぎた。ガスマスクが部屋の壁に着地したのを見計らって、私と潮さんも隣の部屋へ移る。すでにドアの前で待機していた五十嵐さんと共に、部屋の外へと出る。このホテルのドアは外に出ると自動的にロックがかかるようになっているので、もう中からは開けることはできない。続いて向かいの部屋に入ると、窓を開け放した。 「ほ、本当にここから…!?」 「今更怖気づいている場合ですか!」 窓から見えるのは隣の建物の屋上。五十嵐さんと私は躊躇なく跳び移った。それを見た潮さんもなんとか跳び移る。建物内に入り、階段を駆け下りる。あらかじめこの建物に駐めていた車に乗り込むと、潮さんがアクセルを踏んだ。   (2020/9/14 20:25:37)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/14 20:25:42)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/14 21:39:18)

おいら「まさか本当に窓から入ってくるなんて…」 「りすなの読み通りでしたね」 ガスマスクの身体能力からして、わざわざキーを拝借してドアを開けるよりも窓を割って入ってくる方が早い。その結論に至った私達は、この逃走経路を確保していたのだ。 「このまま次のポイントに向かいましょう」 前のメイドのいる場所がわからない以上、情報を集めながら場所を転々としていくしかない。とその時だった。 「うわぁっ!?」 車体に衝撃が走った。驚いて五十嵐さんの方を見ると、窓からガスマスクが覗いていた。 「っ…五十嵐さん!」 気づけば体が先に動いていて、五十嵐さんを乗り越えてドアを勢いよく開けた。ドアがガスマスクに当たり、バランスを崩したガスマスクは、車から落ちて地面に打ちつけられながら転がった。あまりの出来事に、私達は言葉を失い、荒い息だけが車内に聞こえていた。 「…大丈夫ですか」 「え、ええ」 動揺を隠せない様子の五十嵐さん。しかしなぜだろう、いくらガスマスクといえど移動する車をこんなにも簡単に特定できるものなのだろうか。そこまで考えて、1つの可能性に思い当たる。   (2020/9/14 21:53:21)

おいら「五十嵐さん、少し体を調べさせて頂いてもよろしいでしょうか」 「?は、はい」      「…あった」 それは意外にも簡単に見つかった。 「なんです、それは」 「発信機です」 五十嵐さんの着ているケープの裏に、小型のそれは取りつけられていた。 「ええ!?何でそんなものが…。早く捨てましょうよ」 「いえ、捨てるより壊した方が確実…」 そこまで言いかけて、私はあることを思いつく。壊すよりも確実に時間が稼げて居場所がばれない方法。そして、もしかしたらガスマスクを欺けるかもしれない方法を。 「いえ、やはりこうしましょう」   (2020/9/14 22:00:46)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/14 22:01:35)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/14 22:31:54)

おいらガスマスクは建物を伝って移動していると思われた。ホテルの8階まで来たこと、そして車の上に着地したことから推測できた。よって建物の上からでは姿が確認しにくい細い路地を選んで移動することが必要だった。目指すのは、街から少し外れた倉庫。発信機をつけた私は案外すんなりと倉庫に忍び込むことができた。真っ暗な倉庫の中、積み上げられた木箱の陰で息をひそめる。しばらくすると、倉庫の扉が開いた。ゆっくりと足音が近づいてくる。まだこちらの位置はばれていない。だが、ばちり、ばちりと電気の流れる音と光が私を焦らせた。   (2020/9/14 22:40:35)

おいらその時、木箱の裏から端末のバイブ音と光が漏れた。足音が、ゆっくりと私の後ろを通り過ぎていく。あの端末は私があらかじめタイマーを設定していたものだ。ガスマスクをあの場所へおびき寄せるための。端末の近くでばちばちっ、という音と青白い光が見えた瞬間、そこに向かって積み上げられた木箱を押し込んだ。次の時には木箱が勢いよく音を立てて崩れる。…やっただろうか。しかしそんな思いと裏腹に背後に気配を感じた。その時私は思い出したのだ。フードから覗くはガスマスク。その両手にはスタンガン。ガスマスクの持っているスタンガンは…2本。刹那、ばちんという音と共に背中に鋭い痛みが走り、私は意識を手放した。   (2020/9/14 22:49:51)

おいら「そ、そんなの危ないですよ!」 潮さんの反対する声がした。 「この方法が確実に時間が稼げます。それに、ガスマスクを撒けるかもしれません」 「けれどやっぱり囮なんて…」 「勝算はあるのですか」 隣で五十嵐さんが問う。真っ直ぐこちらを見て。 「…賭けにはなります。しかし五十嵐さんを逃がす時間は必ず稼ぎます」 「もしりすなに何かあったらどうするのです」 真っ直ぐ澄んだ瞳が揺れていた。きっと心配してくれているのだろう。 「ガスマスクの目的はあくまで五十嵐さんです。私が再起不能になることはないでしょう。ですが、もし。私に何かあったら、その時は潮さん、お願いします」 「み、見聞さん…」 「りすな。潮だけで私を守りきれるわけがないでしょう」 「…確かにそうですね」 「ええっ!?」 「冗談です。ですが、りすな。やるからには、必ず成功させるのですよ」 私は。この真っ直ぐな瞳に、物言いに、惹かれたのだ。 「はい。もちろんです」 ああ、五十嵐さんとの約束、守れなかったなあ。   (2020/9/14 23:00:25)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/14 23:00:36)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/15 17:09:30)

おいら冷たい風を感じて、目を覚ました。暗い視界の中、ひゅうひゅうという風の音がやけに耳に響く。自分の状況を確認しようとしたところで、立ち上がれないことに気づいた。手も動かせず、口に何か噛まされている。どうやらかなり狭いところに閉じ込められているようだ。少しでも情報を得ようと身体を捻ると、わずかに光が差し込む隙間があった。外を覗こうと顔を近づけたところで、聞き覚えのある声が聞こえた。 「お望み通り来ましたよ」 五十嵐さんだ。その一言で、全ての状況を把握する。最悪の状況を。 「み、見聞さんはどこですかっ!?」 潮さんの声がした直後、がこんと空間が揺れる。音からして、木。私は木箱に閉じ込められていて、蹴られたようだった。   (2020/9/15 17:21:16)

おいら「私達がここに来たのは、あなたの取引に応じるためではありません。私達の取引に応じてもらうためです」 あくまで堂々と、五十嵐さんは言い切った。それに応えるように、スタンガンがばちりと鳴る。 「あなたの望むものを差し上げます。その代わり、りすなを無傷で返してもらいます。それができないのなら、交渉は決裂です」 がたん、と音がして光が入ってきた。目が眩む間もなく髪を掴まれ、持ち上げられた。頭に激痛が走る。目の前に広がるのは薄明けの空、そして五十嵐さんと潮さんの姿。ばりばりというスタンガンの音が耳元を掠めた。 「ん"ん"んんんっっ!!」 次の瞬間背中に激しい痛みが伝わる。意識が飛びそうなそれは、あくまで自分の方が立場が上だというガスマスクの主張であった。 「見聞さん!!」 「潮。…わかりました。交換に応じましょう。りすなを離してください」 あっさりと髪から離された手に、重力に沿って身体が打ちつけられた。その痛みよりも、この最悪の状況を生み出してしまった自分を悔やんだ。五十嵐さんが、ゆっくりこちらへ歩いてくる。私は。五十嵐さんを守れなかったのだ。   (2020/9/15 17:34:56)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/15 17:35:07)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/15 17:50:48)

おいら「お嬢様。行ってはなりません」 五十嵐さんの行く手を塞いだ者がいた。その声は、私の知っている声よりも数段高い。突風が吹き、警備帽が空へ舞う。 「須賀(すが)…なのですか?」 五十嵐さんが目を見開く。 「はい。須賀でございます、お嬢様」 「どうしたのですか、その髪は!切ってしまったのですか、なぜ…」 「どうか驚かないでくださいませ。お嬢様が家出をすると知り、お供させていただいたのです。お嬢様をお守りするのがメイドの役目でございますゆえ」 話し方も雰囲気も、潮さんのそれとは全く違った。彼が…いや、彼女が五十嵐さんの今のメイドだったのか。 「…なぜだ」 ふと上から消え入りそうな声が聞こえた。ガスマスクでくぐもったそれが女性のものであることに驚く。 「なぜだ、なぜお嬢様の隣がお前なんだ!!」 ひどく憤った声が、ガスマスク越しに響く。五十嵐さんは一歩踏み出すと、口を開いた。 「やはり、あなただったのですね。果恋(かれん)。」 少しの沈黙の後、ゆっくりとフードとガスマスクが外された。長い、波打つ赤い髪が流れ出す。灰色の瞳が揺れていた。   (2020/9/15 18:05:34)

おいら「気づかれていたのですね、お嬢様」 「訳を、話してくれませんか」 五十嵐さんは真っ直ぐ問いかける。果恋と呼ばれた彼女は、うつむいたまま話し出した。 「…私は、幼い頃に両親を亡くしました。そんな時私を引き取ってくれたのが、五十嵐の主でした」 「このことはお嬢様も存じ上げないでしょう」、と彼女は続ける。 「私は人一倍努力しました。お嬢様を守るための力と知恵を身につけました。何よりお嬢様をお慕い申し上げていたのです。…ですが、半年前、私はメイドを辞めさせられました。主の都合で」 彼女の声は震えていた。その顔いっぱいに、怒りを滲ませていた。 「私は、お嬢様と一緒に居たかったそれだけでした。それだけだったのに…!」 そこで彼女は初めて顔を上げた。 「お嬢様、私と一緒に行きましょう。お嬢様と居られるのなら、私は犯罪者にでも鬼にでもなります」   (2020/9/15 18:15:53)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/15 18:16:21)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/15 18:31:36)

おいら五十嵐さんは、一歩を踏み出した。須賀さんがそれを止めようとしたが、五十嵐さんは拒んだ。一歩一歩、こちらへと近づく。そして、果恋さんの目の前で止まった。次の瞬間、ぱちん、と音が響いた。 「……え」 「私の知っている果恋は、あなたのような人ではありません。私や、私の友を危険に晒した。私のことを大切に思ってくれている果恋なら、そんなことはしません」 五十嵐さんの瞳から、雫が垂れた。 「もっと他の方法があったはずです。私だって、ずっとあなたと一緒に居たかった。なぜそのことに、気づいてくれなかったのです」 ぼろぼろと零れるそれは、とどまることを知らない。五十嵐さんはまた一歩踏み出した。そして、動けないでいる果恋さんを、ぎゅっと抱きしめた。 「果恋。あなたと一緒に居たいけれど、一緒に行くことはできません。だから、あなたが私と一緒に居てください」 言いのけるのは、いつもと変わらなくて。果恋さんは、大声で泣いた。この世に生み落とされた赤子のように、大声で。   (2020/9/15 18:44:27)

おいら後日譚。 「いやぁ、りすなちゃんにそんなことがあったなんてねぇ」 この人は私がアルバイトをしている新聞会社の社長。新聞配達終わりにお茶をいただいていたら、懐かしくなってつい話し込んでしまった。 「それで、果恋ちゃんは声が枯れんばかりに泣いたと」 「……」 この社長はいったい何を聞いていたのだろうか。じとっと睨みつけると、「冗談だよ」と返ってくる。 「良かったじゃない、またメイドとして働けることになって」 器物損壊等の罪には問われたが、果恋さんはまた五十嵐さんのメイドとして働けるようになったらしい。須賀さんも一緒だ。 「りすなちゃんの話はいつ聞いても面白いねえ。いったいどんな人生を送ってきたのさ」 私はどんな経験も成長に繋がると思っている。成長の積み重ねが人生なのだ。たとえそれが、ただの警備のアルバイトだったとしても。   (2020/9/15 18:56:03)

おいら「ああそうだ、りすなちゃん。さっきりすなちゃんが新聞配達している間に、間違ってここに手紙が届いたんだよ」 「え?私宛ですか?」 受け取った封筒の裏を見てみると、そこには聞き慣れた名前が書いてあった。封を開けてみると、一通の手紙と、一枚の写真が入っていた。その写真を見て、思わず笑みが溢れる。 「なあに、にやにやしちゃって」 「なんでもありません。そろそろTV局のアルバイトの時間なので、行きますね」 「いってらっしゃい」という声を背に受けながら、私は小さな会社を出た。成長した少女と、二人のメイドの姿を思い出して、私はまた笑みを溢したのであった。   (2020/9/15 19:03:32)

おいらfin.   (2020/9/15 19:03:52)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/15 19:03:59)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/9/15 19:22:24)

おいらちなみに。 潮(=塩)…塩味 須賀さらさ(=シュガー)…甘味 五十嵐想(=辛子)…辛味 不知火果恋(=不知火)…酸味   (2020/9/15 19:26:19)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/9/15 19:26:29)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/12/20 18:13:50)

おいら雪が降ると、幼い頃を思い出す。 家の庭がだんだんと白くなっていくのを、丸まるようにして、長いことじっと見つめていた。 しばらくそうしていると、お父さまとお母さまが様子を見に来たので、こんな風に聞いた。 「どうして雪が降るの?」 するとお母さまは答えてくれた。 雪というのは雨になる前のもので、いつもは暖かくて雲から落ちてくる間に溶けて雪になってしまうのが、寒い日に、溶けずにそのまま落ちてくるのが雪なのだと。   (2020/12/20 18:20:00)

おいらお母さまは優しく、ゆっくりと教えてくれたが、自分は首をかしげてしまった。 言っていることの意味がわからなかったのではない。 自分の求めていた答えと違う気がしたのだ。 そんな様子を見て、お父さまとお母さまは顔を見合わせると、困ったように笑った。 そこにひいおばあさまがやってきた。 さっきと同じ質問をすると、ひいおばあさまは少し考え後、ぴったりくる答えを教えてくれた。 あの時ひいおばあさまは、何て言ってたんだっけ。   (2020/12/20 18:25:32)

おいら色とりどりのイルミネーションが街を華やかに飾る。 あまりにキラキラしているから、目が回りそうだった。 そして見周す限りの、人、人、人。 押し潰されたり、流されそうになりながら、サグルは必死に歩いていた。 今日はクリスマス。 世の中の人は家族だったり、友人だったり、恋人だったりと共にこの日を祝う。 色々なお店が密集しているこの通りは、その準備をする人達で賑わっていた。 たくさんのお店から流れる音楽や、行き交う人々の笑い声が混ざり合い、くらくらする。   (2020/12/20 18:32:04)

おいらサグルもプレゼントを買うために、お財布を片手にやってきた。 中には決して多いとは言えない、でも頑張って貯めたお金が入っている。 「はうう」 どこを歩いているのかもわからなくなり、とりあえず人混みから抜けようと近くのお店に入った。 さっきまでの音が少しシャットアウトされて、店内のオルゴールのBGMにほっとする。   (2020/12/20 18:36:41)

おいら「はあぁ…。こんなはずじゃ」 お財布を見つめる。 張り切っていた気持ちはどこへやら、すっかり意気消沈していた。 これほどまでに人が多いとは思わなかった。 もうプレゼントは諦めて帰ってしまおうか。 そう思いながら、サグルはもう一度お財布を見つめた。   (2020/12/20 18:40:04)

おいら「……ううん、ダメ」 プレゼントを買うと決めて一か月半、少ないお小遣いを最大限に貯めてきたんだ。 ここへ来た目的を思い出す。 そう、全てはししょーのため。 ししょー、方中ミエルに内緒でこっそりプレゼントを買って、ししょーに喜んでもらうため。 そのためを思えば、サグルは何だってできる。 希憑サグルは諦めない。 「よし!ししょー、待ってて!」 勢いを取り戻したサグルは、まずはこのお店でプレゼントを探し始めた。   (2020/12/20 18:46:02)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/12/20 18:46:09)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/12/20 19:08:08)

おいら「ううう~…」 ない。良いものがない。 お店を回り始めて数時間、未だにプレゼントを決められないでいた。 思えばししょーの欲しいものを知らない。 まず思いついたのが占いの道具、でもししょーはサグルが知っている占いの道具は持っていた。 次に目に入ったのは洋服やアクセサリー類。 ししょーに似合いそうだと思ったものはいくつかあったけど、ししょーが喜ぶかがわからなかった。 なぜならししょーは洋服などは本当に自分の気に入ったものしか身につけないのだ。   (2020/12/20 19:14:21)

おいら食器などの小物。 これは最初に言った通り、欲しいものを知らなかった。 せっかく選んだものが無駄になってしまうのは悲しい。 そんな風に考え始めたら余計決められなくなってしまった。 いつも一緒にいるのに、ししょーが欲しいものを一つも知らないというのもショックだった。   (2020/12/20 19:18:28)

おいら「そもそもプレゼントって何をあげるものなんだろう…」 幼い頃、サグルはクリスマスとはほとんど無縁だった。 希憑家ではクリスマスは大きく祝わなかったのだ。 ひいおばあさまがケーキを買ってきてくれて、それがとても嬉しかったのを覚えている。 ししょーに出会って、初めて迎えたクリスマスには衝撃を受けた。 街中がキラキラ輝いて、皆が盛大に祝っていた。 家を出ると、そこには自分の知らない世界が広がっていた。   (2020/12/20 19:23:39)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/12/20 19:23:46)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/12/20 19:41:42)

おいら「あ…」 ふと蝶々が目に止まった。 こんな季節に蝶々なんているはずないが、それはブローチだった。 本体や模様は金色に反射して、羽はステンドグラスのように透けている。 アンティークなチェーンもついていて、思わず手に取っていた。 手のひらでキラキラと輝く蝶々。 それはこの世界のキラキラを詰め込んだようで、もしこれがししょーの胸に光っていたらと思った時、サグルはブローチを買うことを決めて、そして諦めた。   (2020/12/20 19:47:53)

おいら値札を見ると、サグルが貯めたお金じゃとてもじゃないけれど届かない額だった。 サグルはブローチを戻すと、お店を出た。 プレゼントを探す気力も、歩く気力もなくなって、少し人が空いている広場のベンチに腰を降ろす。 なんだかやるせなくなって、涙が出そうになって、空を見上げた。 額に冷たいものが当たる。 雪だ。 大粒の雪が、しとしとと降り始めた。   (2020/12/20 19:52:31)

おいらふと、幼い頃を思い出す。 お母さまがどうして雪が降るのか教えてくれて、でも首をかしげた。 するとひいおばあさまが教えてくれた。 雨が降る時、空が泣いているって言うでしょう。 それはね、雨は悲しみが溶けたものだからなの。 でも雪はね、泣くのを我慢して我慢して、悲しみを閉じ込めた。 どうしてだと思う? サグルは首をかしげて、その言葉の続きを待った。 あの時ひいおばあさまは、何て言ってたんだっけ。   (2020/12/20 19:57:29)

おいら涙が出そうなのが少し収まったので、前を向く。 これからどうしよう。 空を見上げる人々が通り過ぎていく。 その中に、見つけた。 目を逸らそうか迷って、目が合ってしまう。 一番会いたくて一番会いたくなかった人が、ししょーが、こちらに歩いてきた。 本当は今すぐにでも飛び出したい。 駆け寄って、プレゼントがないことを謝りたい。 そんな気持ちに反して、体はうつむいてしまう。 ししょーの可愛らしいショートブーツが映った。   (2020/12/20 20:02:51)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/12/20 20:03:06)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2020/12/20 20:21:47)

おいら「サグル」 ししょーの声は何だか驚いたような、意外そうなものだった。 ししょーの声を聞いて、それだけで想いが溢れてしまう。 「ししょー…!」 掠れたような、情けない声だった。 でも、それでも続ける。 「し、ししょーに、プレゼントを渡したくて…でも、」 でも。 「プレゼント、ない、の…」 ししょーはきょとんとしたと思うと、何でもないように言った。 「いいわよ、ミエルも用意してないもの」 「し、ししょーはいいの、サグルは、ししょーと一緒にいられれば…!」 「じゃあミエルもそれでいいわ」 今度はこっちがきょとんとした。   (2020/12/20 20:28:29)

おいらひいおばあさまの言葉を思い出す。 雪が悲しみを閉じ込めたのはね、太陽に悲しみを溶かしてもらうため。 だから、雪は降るの。 もう、涙はひっこんでいた。 幸せな気持ちを伝えるように笑うと、ししょーも満足そうに笑った。   (2020/12/20 20:32:10)

おいら「さあ、ダーリンを探しに行かなきゃ!プレゼントを渡すんだから!」 両手にたくさんぶら下がっていた紙袋の中身は、榊遊矢へのものらしい。 嬉々として歩いて行ってしまうししょーを追いかける。 いつもだったら引き止めるところだけど、今日だけは榊遊矢を睨みつけるだけにしておこう。   (2020/12/20 20:35:41)

おいらちょっと早い、サグルのクリスマスのお話。   (2020/12/20 20:36:14)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2020/12/20 20:36:24)

おしらせハルさんが入室しました♪  (2022/8/15 21:39:18)

ハル 菴羅は綺麗だ。大きな瞳をふちどる白銀色の睫毛のひとつひとつさえ、優雅さを際立たせる役目を果たす。オレが柄にもなくそう想いを馳せるのは、静かな菴羅を眺めている時だ。   (2022/8/15 21:40:02)

ハル 菴羅はよく笑う。誰かがいれば楽しそうに話し掛けるし、天性のカリスマか、菴羅の感情は人へと人へと伝播して、良くも悪くも騒ぎになる。お祭り騒ぎが好きな性分だから、それすら心底楽しんででいるのだろう。そんな菴羅は、一人きりの時間だけ、寡黙に、遠くを眺めるのを知っている。   (2022/8/15 21:40:20)

ハル 待ち人をただぼんやりと待っている姿、その造形の美しさに見惚れてしまう。 睫毛、鼻筋、唇の横から見たラインすらも、造りが良いと感嘆してしまう。ほんの瞬きさえ惜しんで、声を掛けるのを躊躇う自分がいる。 ただ、この美しさが恐ろしい。たおやかで、容易に手折れてしまいそうで。   (2022/8/15 21:40:40)

ハル菴羅は世話していた花を、突然燃やしてしまったことがある。   (2022/8/15 21:41:13)

ハル「なんでそんなことをするんだ」   (2022/8/15 21:41:28)

ハル わざわざご丁寧に、ライターを持ち出して、菴羅は一輪の花に火を着けた。オレが止めるよりも早く、あっという間に、花は白い手の中で燃えて言った。   (2022/8/15 21:41:46)

ハル「枯れそうだったから」   (2022/8/15 21:41:58)

ハル 菴羅の目線は、花だったものでもなく、オレでもなく、遠くの地べたを見据えていた。たった一輪の花のために毎日毎日水をやっていたのも、この瞬間、花に火を付けたのも菴羅自身だったので、その返答だけでは理解できなかった。   (2022/8/15 21:43:47)

ハル「それだけで燃やす必要あるかよ」「花は動けないから、苦しい時に綺麗なままピリオドを打つことは出来ないじゃない」   (2022/8/15 21:44:07)

ハル これ以上の発言は水掛け論だと感じて、燃やしてしまった菴羅の意図に食い下がることはなかった。   (2022/8/15 21:45:12)

ハル 美しいまま、楽しい瞬間を閉じ込めて、菴羅がピリオドを打たないかが怖い。だから菴羅にはここが最高潮ではないと、目先以上の最高潮を未来に示さないと、取りこぼしてしまいそうで、怖い。   (2022/8/15 21:45:28)

ハル 菴羅のいう美しさが見目なのか、概念なのかは分からないが、『他人の美しい記憶』も視てきているのだろう。   (2022/8/15 21:45:39)

ハル 菴羅の美しさの観点から乖離したモノでも、他人の感情が、自分の感情と同じである時、『視えてしまう』時は、視える。その特性があってか、自身と他者の境界があいまいな女は、他者の反応で自分を確かめている節がある。   (2022/8/15 21:46:25)

ハル「綺麗なものは綺麗に終わらせる」というこだわりは、果たして菴羅自身の感情なのだろうか。   (2022/8/15 21:46:58)

ハル花を燃やすひと(セルフ二次創作)(芽依視点の菴羅)   (2022/8/15 21:48:08)

おしらせハルさんが退室しました。  (2022/8/15 21:48:10)

おしらせハルさんが入室しました♪  (2022/8/15 22:04:06)

ハル「今日はめーちゃんの誕生日集会です。おめめい〜」   (2022/8/15 22:04:24)

ハル気の抜けた挨拶で始まった集会…もとい、菴羅邸宅へのお招きには菴羅、昴、そして主役の芽依が居る。芽依の誕生日は盆の間…つまり、旅行や帰省が多いわけで、対面では変わり映えしないメンツに祝われる。もれなく、昴と菴羅の二人も祝日と冬休みに誕生日を迎えるので、この三人は三人揃っての誕生日が主になっている。   (2022/8/15 22:08:52)

ハル「人の名前で誕生日を雑に祝うな」   (2022/8/15 22:09:06)

ハル芽依は呆れたようにそう言う。ベビーピンクと白を基調とした可憐ながら上品な趣向の部屋には、その雰囲気とややかけ離れた非日常の存在…きらめく紙吹雪を閉じ込めた透明のバルーンや、HAPPY BIRTHDAYの文字のバルーンが壁際に飾り付けてある。   (2022/8/15 22:10:08)

ハルチョコレート菓子や広げられたポテトチップスなどの菓子の類は昴が、白い箱の中の小さなケーキは菴羅が用意したものだ。そんなお祝いムードの空間で、「芽依ちゃんに話があるんだけど」と、申し訳なさそうに昴が芽依に話し掛ける。   (2022/8/15 22:11:38)

ハル「ごめん。僕プレゼント置いてきから今日はデュエルでいい?」   (2022/8/15 22:11:55)

ハル「お前たまに図太いところ見せてくるな」   (2022/8/15 22:12:34)

ハル「風船とか飾り付けの道具用意したら忘れちゃって…」   (2022/8/15 22:12:43)

ハル申し訳なさそうにはしているが、その顔には焦りがない。芽依はデュエルで買収できる人間だと思っている人間の顔で、そこに少しだけ芽依はイラついた。   (2022/8/15 22:14:07)

ハル「この本末転倒ヤローが…」と芽依はボヤきながら、デッキホルダーからデッキを取り出し、直近、イベントも大会もないのに持参しているデュエルディスクにデッキをセットする。少し安心しながら、昴も同じようにする。   (2022/8/15 22:16:15)

ハル「オレへのプレゼントにデュエルなんだ、最高の仕上げしてきてんだろうな?」   (2022/8/15 22:16:50)

ハル「モチロン、あーちゃんと散々回したからね。いつもみたいな凡ミスはしない…ハズだよ」   (2022/8/15 22:17:34)

ハル昴の言葉に芽依は目を丸くして、菴羅の方を向く。菴羅は気分屋な上、デュエルに興味が薄いらしく、デッキ登録の義務は果たしているものの、本気か判別付かないデュエルをする。そんな菴羅が立て続けにデュエルの手伝いなど珍しい。   (2022/8/15 22:20:19)

ハル「菴羅ぁ、何が企みだよ。お前デュエルそう好きじゃねーだろ」   (2022/8/15 22:20:46)

ハル芽依がそう尋ねれば、菴羅は笑みを湛えた。   (2022/8/15 22:21:52)

ハル「誕生日はお祭りでしょう。そして私はお祭りが好き。お祭りを楽しむ人の顔が見れるからね」   (2022/8/15 22:22:38)

ハルそう言い、芽依を指さして挑発的に笑う。   (2022/8/15 22:22:55)

ハル「このくらい真剣に、真面目にやらなきゃ…楽しそうなめーちゃんなんて見れないでしょう?」   (2022/8/15 22:23:23)

ハルお前の誕生日じゃねーんだぞ、とボヤく当人は、言葉とは裏腹に、既に仕掛け人の意図に乗ってしまったようだ。菴羅はにこやかに笑う。芽依は左手に構えたデッキを突き付けながら、「二対一でいいぜ」と呟く。ボコボコにしたらァ、なんて物騒な言葉が許されるのは、誕生日の本人だけだろう。   (2022/8/15 22:26:26)

ハルおたおめい〜(芽依の誕生日のショートショート)   (2022/8/15 22:27:24)

おしらせハルさんが退室しました。  (2022/8/15 22:27:30)

おしらせrookさんが入室しました♪  (2022/9/16 22:45:08)

rookちょっと書きたいなと思ったのできた!   (2022/9/16 22:45:22)

rook___少し、僕らの話をしようか。   (2022/9/16 22:45:51)

rook今から話すことは、僕が19年生きてきた中での気付き。"桐谷"の歴史。   (2022/9/16 22:47:22)

rook__先ず簡潔に言おう、"桐谷"は、"呪い"による"結末"を作られている。この"呪い"は、桐谷の血を引く者に影響するから、第三者が桐谷邸に入ろうが、桐谷と関わりを持とうが、呪いにかかることは無い。   (2022/9/16 22:51:40)

rook桐谷の人間は、生から死までの運命を定められている。__それは生き物における絶対的なルール。けれど、桐谷は少し違う。   (2022/9/16 22:54:32)

rook"特別"を持って生まれた人間が迎えるのは"特別な死"。なんとも皮肉な事だ。桐谷に産まれれば、普通に生かしてくれることなんて無いさ。   (2022/9/16 22:57:41)

rook実際、僕は……自分自身の能力にうんざりなんだ。覚えたくない辛いこと、悲しいこと、苦しいこと、全て細かく記憶している。頭が良いからと、多くの人間に期待される。"分からない"を必ず"分かる"に変換してしまう。   (2022/9/16 23:03:17)

rook苦しみは他の人間には理解して貰えない。   (2022/9/16 23:03:55)

rookだって、みんな「馬鹿」だから。「天才」の言うことは「馬鹿」には理解できない。   (2022/9/16 23:04:47)

rookだが___「天才」の僕が、"特別"を失ったら?何が残る?……そこに残るのは、心を持たぬ人形。僕は、"特別"に生かされている人形。   (2022/9/16 23:07:25)

rook桐谷の人間は、"特別"に人間性を奪われる。大きすぎる力の代償とは、まさにこの事だと思う。   (2022/9/16 23:08:58)

rookならば何故、この呪いを止められないのか。……資料を探して読んで、僕はとあることに気がついた。"桐谷の人間は特別に苦しみながらも、特別を消そうとはしない"。__消し方が分からない。というか__"消せない"。   (2022/9/16 23:13:50)

rook何故か、僕にも呪いの消し方だけは理解できない。__だから、子孫を作り、永遠と桐谷を繋げていくのだろう。まるで誰かが意図してそうしているような……   (2022/9/16 23:16:20)

rook今日、話せるのはそれくらい。またなにか気づきがあれば、話せるかもしれないな。   (2022/9/16 23:19:41)

rook__ああ、最後に、ひとつ   (2022/9/16 23:21:22)

rook『神様に、好かれたかったな』   (2022/9/16 23:22:54)

おしらせrookさんが退室しました。  (2022/9/16 23:22:58)

おしらせ【GIOMI】さんが入室しました♪  (2023/6/18 16:27:21)

【GIOMI】「.......名前はヴァン、だったよな?偽名なのか?……さあ?そんなことどうだっていい。アイツを覚える名前が有ればいい。オレには一切、あの男に関する記憶は無いからな。ヴァンは死んでいるんだ。とっくの昔に。あの男は器(オレ)に固着した地縛霊だった。死んだ人間はこの世に留まるべきではない。死んだ人間は生き返らない。.......ああ、いや、違うんだ。キツい言い方をしたな?非業の死を遂げて、今度こそと実りのある人生を。次の人生を謳歌したいという純粋な願いのことを、間違っているとは、言っちゃあいない。」   (2023/6/18 16:30:09)

【GIOMI】「ただ、ヴァンは間違えたんだ。死んでいるはずの肉体で、再び生きようとした。死の間際に刻まれた傷の一つ一つが呪いになり、生きて与えられた苦痛に、悶え苦しんだ肉体で。あの肉体はとうに腐りきっていた。ならばどれだけ魂も離れていってしまう。         .......呪いが刻まれた死体では、生き返れない。いずれまっさらな体で生まれ落ちているだろう。三千年、壊れた肉体を求めて生きる為に掴んだ縁(オレ)とは全く関わりのない、恵まれた縁(かぞく)に囲まれるだろう。顔も、名前も、何も知らない誰かの安寧を願う。」   (2023/6/18 16:30:42)

【GIOMI】【縁のないふたり GioMi】   (2023/6/18 16:33:02)

おしらせ【GIOMI】さんが退室しました。  (2023/6/18 16:33:07)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2023/9/18 20:10:02)

おいら「曲を作ったので聴いてもらえますか?」私が部屋に入るなりそう切り出したのは、他の誰でもない磨紘ちゃんだった。急に磨紘ちゃんが家に来て欲しいと言うので、何事だろうと少しドキドキしていた私だったが、思ってもいない方向からの言葉に一瞬首を傾げて固まってしまう。カチャ、と静かにドアを閉めた磨紘ちゃんは、その長い髪をさらりと揺らしながら私の方を振り返った。リンスだろうか、ふわりといい香りがしてどきりとしてしまう。私がどぎまぎしていると、不安になったのだろうか「あの、いろはちゃん……」と呼びかけられたことで、私はようやく返事をしていないことに気がついたのだった。「あ、えーっと!すごいね!磨紘ちゃん作曲できたんだ~!?」言いながら、遅れて驚きがやってくる。作曲ってすごく難しいイメージがあるけど、磨紘ちゃんはそんなこともできてしまうのか。「いえ。音を組み合わせたりしただけなので、とても作曲とは言えないのですが……」「それでもすごいよ~!磨紘ちゃんさーすがーっ!」   (2023/9/18 20:12:27)

おいら私の稚拙すぎる褒め言葉にも、目を少し伏せてはにかんだように照れてくれる磨紘ちゃん。長いまつ毛も、ほんのり赤らんだ頬も綺麗だなって思ったり。「それで、あの……いろはちゃんに聴いてもらいたくて」「あっ、だからピアノのある部屋だったんだねー!?」案内された部屋は、いつもの客間ではなくグランドピアノが鎮座したちょっと小さめの部屋だった。それでも十分大きい部屋だけど。部屋の中はちょっと耳が痛いくらいしーんとしている。衣擦れの音とかまでよく聞こえた。「いえ。ピアノは弾きません。音を出すから、防音の部屋がいいかなと」「あ、そうなんだ~」磨紘ちゃんのピアノを聴いてみたかった気もするが、それはまた今度にしてもらおう。それより今は、磨紘ちゃんの作った曲が気になっていた。うずうずしているのが伝わったのか、磨紘ちゃんはにこりと微笑んで椅子を勧めてくれた。二人掛けの、ちょっと長いやつだ。「これを」「?」   (2023/9/18 20:13:11)

おいら私が座ったあと、磨紘ちゃんも隣に腰掛けた。差し出されたのは、イヤホンだった。そのことになぜか違和感を感じる。なんだろう。磨紘ちゃんがイヤホンとか音楽プレーヤーを持っているのを見たことがないからだろうか。でも高校生だし、持ってても別に変じゃないはずだ。「?どうしました?」「ううん、何でもないよー!」イヤホンを受け取って、耳にはめてみる。どんな曲なんだろう。バラードみたいなしっとりとした曲とか。意外とロックな感じだったり。でも音を組み合わせたって言ってたし、民族っぽい感じかな。「では、再生しますね」音楽プレーヤーの再生ボタンが、押された。「いっ……!?」何が起きたのかわからなかった。耳元で大音量で”何か”が流れ、脳内に響く。思わずイヤホンを外そうとした私の手が動かなくなった。「ま、ひろちゃん……!?」磨紘ちゃんの手が、私の手を強く掴んでいた。反射的に動いた反対の手も、相殺されるように椅子に固定される。その柔らかい表情からは想像もできないほどの力で、私の耳にイヤホンを押しつけていた。   (2023/9/18 20:14:34)

おいらばりばりとしたノイズ音、耳鳴りのようなモスキート音、ぶつりっ、と何かが途切れる音。何重にも重なった意味を持たない音が、一つ一つはっきり意味を持って暴れていた。「ぃぎ……っ!?」肌が泡栗立ち、酷い悪寒が襲ってくる。頭がくらくらして、背中に鈍い痛みが広がった。どうやら椅子に身体が倒れたようだ。被さるように磨紘ちゃんが乗っかる。組み敷かれた身体をよじっても、脚をばたばたさせても、磨紘ちゃんの力は強くなるばかりでびくともしなかった。「い、あ……っ!」私の声が部屋の壁に吸い込まれる。そうか、だから防音の部屋。気がつくのが遅すぎた。視界が点滅し始める。それでも磨紘ちゃんに訴えかけようと、開かない目を無理やり開く。   (2023/9/18 20:14:58)

おいら磨紘ちゃんの頬を、涙が伝っていた。音が、消えたように感じた。音のない世界で、磨紘ちゃんの声が聞こえる。「いろはちゃんのために、作ったんですよ」私の、ために。その意味はわからなかった。でも、私の、ためか。……それなら。「いい、や」そう思った途端、全てが楽になった。鼓膜が破れそうな音も、跡がつくくらい強く掴まれた手も、痛いのも、苦しいのも。全てが心地良い。「おやすみなさい」まどろみの中で、まるで死神のような、優しい声が聞こえた。   (2023/9/18 20:15:20)

おいらお題…伝う狂気 押しつけるイヤホン 死神   (2023/9/18 20:15:34)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2023/9/18 20:15:42)

おしらせおいらさんが入室しました♪  (2023/9/18 20:26:36)

おいら死神にとり憑かれた。そう言ったら大抵の人は、そんな馬鹿なと相手にすることなく笑うだろう。オレがもし人からそんな相談を受けても、自分には見えないからどうしようもないとしか言いようがないだろう。まあ、力になりたいとは思うが。それはともかくとして、だから大抵の人は死神という存在を信じていない。オレの場合もそうだった。つい三日前までは。「あなたはもうすぐ死にます」そんなお決まりの文句が耳に入ってくることがあるなんて、生きている間これっぽちも思っていなかった。医者でももう少しましな言い方をするだろう。しかも、だ。声が聴こえてくる頻度が半端ではない。突然だが、音や音楽というのはそこら中に溢れている。   (2023/9/18 20:26:47)

おいら朝起きるためのアラームの音、小鳥のさえずり、天気が悪ければ雨の打ち付ける音、街なかに行けば人のざわめき、細かいことを言えば着替えるときは衣擦れの音がする。それらの音という音、全てが「あなたはもうすぐ死にます」という言葉に変換されて聴こえてくる。至って最悪だった。正気の沙汰ではない。常人だったらとっくに気が狂っている。最初聴こえた時は、気のせいかと思った。しかしすぐに事態を飲み込んだオレは、事の重大さにうなだれた。すぐに気の置けない幼馴染み達に相談をした。医者に診てもらうという手もあったが、病気の類には到底思えなかった。待ち合わせ場所にやってきた幼馴染み達の第一声は「あなたはもうすぐ死にます」だった。会話すらまともにできないのかと頭を抱える。   (2023/9/18 20:27:18)

おいら筆記で相談に乗ってくれた幼馴染み達のおかげでわかったことは、精霊の声ではないということ、文言から察するに死神ではないかということだけだった。音を伝って聴こえてくる死刑宣告に少しでも対抗すべく、その場に持ち合わせていたイヤホンを耳に押しつけられ、その場は解散となった。そして三日が経つ。ふと鏡を見ると顔が明らかにやつれていた。まさに死相が出ているという感じだ。死神は直接命を奪いに来るのではなく間接的にというが、まさかこんな形で来るとは。ありそうでなさそうなパターンだった。オレとしては命のやり取りは真っ向から来て欲しいところだ。こんな回りくどいやり方で死ぬのはごめんだった。それからさらに二日が経ち、車のクラクションも物が降ってくるのも察知できなくなってきたオレは部屋で過ごすことが多くなった。   (2023/9/18 20:27:37)

おいら咀嚼音さえ死を告げるのでご飯もろくに食べられない。だがしかし、こんなことで死ぬわけにはいかないという思いは増すばかりだった。「あなたはもうすぐ死にます」宣言から一週間。朦朧としながら眠りにつこうとした時、それは聴こえた。「あなた、もうそろそろ死んでくれませんか」久しぶりの声に、驚いて上半身を持ち上げる。そこにはスーツをまとった、長い三つ編みの女が立っていた。怒ったように顔をしかめるその女性に、「こいつか」と内心オレは思う。死神というより会社員という感じだが、声からしてこの女がこの狂った現象の犯人なのだと確信した。「やっと出てきたか……」指をぽきりと鳴らす。狩られようとしている側だが、狩る気は満々だった。「出てこざるを得なかったんですよ。あなたが死なないから」   (2023/9/18 20:27:59)

おいらオレの言動に全く動じることなく、そいつは言った。「祇園芽依さん。あなたはもうすぐ死にます」   (2023/9/18 20:28:10)

おしらせおいらさんが退室しました。  (2023/9/18 20:28:15)

2020年05月11日 23時10分 ~ 2023年09月18日 20時28分 の過去ログ
ルーム:S3Yg518 小説部屋2
現在のルーム
過去ログ一覧
▲このページの先頭に戻る


[保護された通信(SSL https)を利用する]

クッキーの使用について

(C)2009-2024 ミナコイチャット <info@3751chat.com>