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「ヨズア戦記 サブ部屋」の過去ログ

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2020年06月02日 21時00分 ~ 2020年07月16日 03時09分 の過去ログ
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おしらせ〆鯖/火津彌さんが退室しました。  (2020/6/2 21:00:29)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが入室しました♪  (2020/6/3 03:35:16)

〆鯖/火津彌((ソロル失礼します!   (2020/6/3 03:35:23)

〆鯖/火津彌【この子の七つのお祝いに:中編】 「狐狗狸さん、狐狗狸さん、お帰りください、お帰りください!」 椿の金切り声が呪文を紡ぐ。彼女は魔術師ではないが、言葉に魔力が宿るということはこの世界の誰でも知っていることであり――源氏名という字を持つ遊女たちの間で奇妙な咒いが流行る事も多かった。しかし、必死の慟哭が神仙に届く事はなく。月光に取り憑いた狐狗狸は白髪綿を着けた少女の姿でゲラゲラと嗤った。鬼灯家は貴族、貴族が妾を何人も囲うのは珍しい事ではないし、ましてや遊女ともなれば……。しかし狐狗狸は狐狗狸としてではなく、幼い月光の感情に共鳴しながらその黒い埋み火を増幅させていたのだ。可笑しそうに帳簿をびりびりと千切り、神木の上から紙吹雪のようにはらはらと落としていく。空中でその紙切れに狐火が宿り、ぼう、ぼう、と次々に燃えた。   (2020/6/3 03:35:49)

〆鯖/火津彌「まずは貴様の望み通りに。忌々しき点鬼簿を燃してやろうとも!お次はどうすると言ったか?『あの女』を呪い殺すか?それともこの小僧にするか?狐狗狸は見ていたぞ、全部見ていたぞ。篝火の燃えるところ、気色の悪い廃工場の煙突、売女の吐いた煙管の一筋。この厘都に揺蕩う全ての煙となってな……イヒヒヒヒヒヒヒ!!」 今思えば狐狗狸の言葉が全て、本当の事かどうかなど図りようのないものだった。ただ月光が何かしらの催眠状態に罹っていたと言えば、それも証明しようがない。今となっては彼自身、記憶は薄らあれどこの時の気持ちなど覚えていないのだから。 「この子の、この子の髪の毛一本誰にもやりませぬ!誰にも!」 「だから神聖なる境内で忌々しい咒いを起こし、鬼灯を呪わんとした!女、神仙に楯突く恥ずべき行いにくれてやる慈悲など無いのだよ!」 「ああああどうか、どうかこの子だけは……!」 「貴様が執心しているのは」 「言わないで!」 「この小僧ではない!」 「お願い!」 「この小僧は貴様の娘ではないのだよ、貴様の人形ではないのだよ、貴様が望んだ幸せはひとつもひとつも叶わぬのだよ、けけけけけけけ!」 「………ああっ……!」   (2020/6/3 03:36:37)

〆鯖/火津彌首と腰と膝とをつづらに折って地に蹲い、髪を掻きむしりながら咽ぶ椿を見て、狐狗狸はもんどり打って嗤った。神木から真っ逆さま、その身体が墜落する。 椿の四肢は歪にくねりながら徘徊り、投げ出された少女の姿に近寄った。嗚咽しながら力なく抱き締め、頬にそっと掌を寄せて囁いた。 「あぁ、あぁっ…堪忍、堪忍え。……———み、づき………」   (2020/6/3 03:37:30)

〆鯖/火津彌そこから月光の記憶はぷっつりと途切れている。後から訊いた話によれば、いつのまにか居なくなっていた平八は知っている魔術師を呼びに行ったのだという。月光の母親についての謎は、つまりこういう訳である。嫡子に恵まれなかった鬼灯家当主・月弓(ツクヨミ)は、榮郷を離れ厘都を閨とした。貴族の政略的結婚により娶った妻は子を成せないからといってどうすることも出来ず、養子をとるしかないと考えた。しかし、どうしても鬼灯の血筋は必要不可欠だったのだ。瑞穂と椿は遊女でありながら月弓を愛し、ほぼ同時に子を宿した。そして椿は女児を流し、瑞穂は男児を産んだ。月弓が密かに愛したのは、椿の方だった。寵愛を受けることの出来なかった瑞穂は月光に月弓の姿を、子を産むことの出来なかった椿は月光に娘の姿をそれぞれ重ねていたのだった。 椿がこの後どうなったか、詳しくは知らされていない。 ただ、この時に————死んだと。それだけである。   (2020/6/3 03:37:47)

〆鯖/火津彌((蛇足で豪快なネタバレをば。椿姐さんを殺したのはもちろん狐に取り憑かれたほづみんです。そしてこの時助けにきてくれた魔術師はぱぱだったりします。ほづみんは知らない(知らないふりをしてる?)事ですが、ぱぱは愛した椿を殺したほづみんに、狐のせいとはいえ複雑な感情を抱いていることでしょうなぁ   (2020/6/3 03:39:15)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが退室しました。  (2020/6/3 03:39:19)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが入室しました♪  (2020/6/4 23:49:10)

〆鯖/火津彌完結しましたーー!   (2020/6/4 23:49:17)

〆鯖/火津彌【この子の七つのお祝いに:後編】 あれ以来、僕は狐につままれたまま。今や人は僕を魔術師と言うが、正味な話、そんな大層なもんやない。守護神でもなんでもない、あの日から、僕は——取り憑かれたままなんやと、思ってる。時々、自分が自分でないくらいに感情の抑えが利かなくなる事がある。燻るようにぱちぱちと腹の芯を蝕み、気が付けば発作的な憤激に変わって僕の人格を蝕もうとする呪い。もしかすればもうすでに、成り代わってしまっているのかもしれない。癇癪のような赫怒や度を失いそうになる悔恨。やるせなさ。その全てが既に僕の心に染みつき、僕の人格そのものとなっているのかも、しれない。 ……その後帝都榮郷の鬼灯神社にて迎え入れられた僕は、稲荷信仰の呑み込みの速さと炎の魔術適正の高さに、周囲を戦かせる程度には才覚を顕した。この家の誰も、ほめてはくれなかったが。皮肉めいたぎらぎらとした嫌味や負け惜しみが、僕を孤立たらしめた。 褒めてくれたのは、瑞穂姐さん、ただ一人やった。   (2020/6/4 23:49:40)

〆鯖/火津彌「姐さん、どうして榮郷に……いや、どうしてここに。」 鬼灯邸に姿を現した姐さんは、人が変わったようににこにこしていて。榊の木の垣の中にある裏庭の木戸越しに、僕らは再会を果たした。 「月光、おまえが優秀やから旦那様が紅玉楼に出資して下さったのや。お陰で榮郷に遷る事が出来そうでなぁ。……ほんまにええ子。孝行な子。」 今でこそ、思い返せば笑ってしまう。そんな訳があるはずもなく、おそらくそれは口止め料のようなものだったんやろうに。それを移転資金に充てるとは……紅玉楼の狸親父もかなり周到に根回しをして決行したんやろう。最初から椿などという御職女郎はおらんかった。榮郷なら、そう言い張る事ができるから。 「……ねえ、さん…あの、ここじゃ…人目が。」 もじもじと落ち着きのない様子で僕は言った。鬼灯の屋敷を出て、どこかで話をしたかった。椿姐さんのこと、帳簿のこと、鬼灯家のこと。あなたと僕のこと。決して疾しい期待をしていた訳ではない…断じて、本当に。姐さんがその気なら…と、頭を掠めない訳では無かったけれど。   (2020/6/4 23:50:05)

〆鯖/火津彌「月光や。……月弓さまを、いや…鬼灯の旦那さまを。……呼んできてはくれんかえ。こっそり…こっそりな。」 やけど、もう。椿姐さんもその娘もいなくなったこの世界で、どうやら僕など……姐さんの眼中にはなかったらしい。え、と声を漏らし、旦那さまともあろう人を簡単に連れてこれるかどうかはわからない、と口籠る。それでもええから、お願いと甘える姐さんに根負けして、結局は月弓その人を裏庭に呼んだ。「みず……いえ、女の人が、その。父上にお目もじしたいと言うてはりますが…」そう口にしただけで、焦ったように彼は裏庭に飛び出した。後をつけてでも二人の会話を聴きたかったけれど、僕は榊の垣根をついぞ越える事は出来なくて。鬼灯神社の中に夥しくある境内摂社のうちの一つ、常音狐を祀る祠の鳥居の下で、膝を抱えてすすり泣いた。 「つきみつ、いかないのか。」 小さな管狐がするりと僕の背中に絡みつき、声を掛けた。もう神仙の声を聴くことは出来ないが、幼少の砌はこういう不思議なことが時々あった。   (2020/6/4 23:50:59)

〆鯖/火津彌「いくって、……う、ぐっ……どっ……ひっ、く。ど、こに。」 「たぶん、つくよみはみずほをふる。そして、みずほはものすごくあれる。つねねは、つくよみのそばでみてきたからわかる。」 「……荒れる?」 「うん、いのちをたつかもしれない」 「姐さんが?自殺を?」 「そのくらいですめばいい。いっしょにしのうとするかも。」 「…父上と……か?」 「……。」 常音はその頬と僕の頬を擦り付けるようにして頬ずりをした後、瑞穂姐さんについて話してくれた。彼女が少しおかしかったのは、何も父上からの寵愛を受ける事が出来なかったせいではない。恐らくは女郎という生業に従事しながら自我を保っていられるほど、元々強い人ではなかったのやろう。聞けば聞くほど、気の毒で、かわいそうで。彼女がかあさんなのかもしれないと思えばこそ、余計にたまらなくて。幼い僕の心を締め付ける種火のような感情がまた、呪いやろうか……大きな炎にのまれていった。   (2020/6/4 23:51:30)

〆鯖/火津彌「……ねえさん、ねえさんっ。」 花街がどこにあるか突き止めるなんて、妓楼育ちの僕にかかれば造作もないことやった。より明るく暗い方へ、より煩く静かなほうへ、より香り立ち、匂う方へ。赤い柱をくぐって、榮郷の花街——その敷地内に生まれて初めて足を踏み入れた。坊主には早いなどと声でも掛けられようものなら、言うてやるつもりや。僕は紅玉楼の月光や、厘都一の妓楼を知らんのか、モグリめ、榮郷の成り上がりが。……姐さんはやっぱりそこにいた。少し奥まった路地に立ち尽くして、呆けて。泣き腫らした顔で僕を見つけるなり駆け寄って、腕の中に隠すように抱き締めた。 「……月光っ、あぁ、月光。やっぱりうちにはお前しかおらへん。お前に逢いたくて、うちはわざわざ榮郷に下ったのやで。もう離さへん、離さへんからな。」 どう考えても都合のいい甘言やのに。どうしてか、必死でしゃくりあげながらそう言葉にする姐さんを見ていると嘘を言っているようには到底思えなくて。   (2020/6/4 23:52:13)

〆鯖/火津彌……この人もきっと、自分が自分でなくなるような感情の渦に翻弄されているだけに過ぎないのやろう。己を重ね合わせて、この時ようやく僕は姉さんを畏怖の対象ではなく、一人の人間として見ることが出来た。女とは、なんて弱い生き物なんやろうか。なんて愚かで、愛しい生き物なんやろう。 「あぁ、月光。ええ男に、なったなぁ。」 頬に掌を添えて、涙に濡れた瞳でうっとりとそう呟く姐さんを見上げた。厘都を出てまだ二年も経ってはおらんかったけれど、あなたの言う通り、あの時は精通すらしていなかった僕の身体は、色々な分化を終えていた。僕は、姐さんの手首を掴んで顔から引き離すと、震えた声で、ずっと言いたかった、呼びたかったものを呼ぶ。 「……僕は、もうすぐ九つになります。あなたを、抱ける身体になりました。やけど、もう、そんな事をしなくてもええんです。そんなことをしなくても…っ、股を開かなくても、あなたは……生きていてええんです。……母さん。」   (2020/6/4 23:53:01)

〆鯖/火津彌あなたは、子供でしかなかった僕を男にしてくれた。今度は僕が、女でしかないあなたを……母にしてやる。 七つまでは神のうち、なれば、あなたはた、だ、神とまぐわっただけに過ぎないのです。 いつのまにかぽつぽつと降り始めた雨が僕らを濡らしている。母さんは空を仰いで、絞り出すような声で呟いた。 「狐の嫁入り…あぁ、狐ですら、祝言を挙げられるのに…———」   (2020/6/4 23:53:17)

〆鯖/火津彌その後、何日か経って父上と顔を合わせる事があった。母さんの話題など微塵も出さずに、彼は、まるで話題に困ったように僕の魔術の才を称えた。 「そろそろ、お前も屋敷を出てみるか。本格的に魔術師になるならば、もう人前で月光とは呼べんな。……どんな字をつけた?聞いておこうか。」 今更になってようやく。これまで僕の字すらも知らなかったのか、あんたは。……それならば教えてやる、これは、僕の精一杯の意趣返しや。 「火津彌と申します。父上。」 一瞬の停止を、僕は見逃さなかった。生粋の貴族であるあなたが、こんな皮肉に気付かぬはずはありませんやろ? 「……穂積、火津彌か。うん、実に鬼灯らしい字や。実る瑞穂が積まれる程の五穀豊穣。お前も、それ程の魔術師になるという事だな。」 「はい。」 全く動じることなく切り替えされた言葉。僕のほうも、怖気ることなく、即答してやった。その後の沈黙に耐えかねて部屋を出たのは、あんたのほうやった。 ——勝った。そう、思った。   (2020/6/4 23:53:41)

〆鯖/火津彌8月の盆。鬼灯神社では死者の霊を弔う、灯篭流しが開かれた。狐と炎を信仰する神官たちが呪文を詠唱し、灯篭に火を灯してゆくのはここならではの風物詩。僕もその一員に駆り出され、白い着物に袴を履いて神事に加わっていた。 「———七回忌にはずいぶん、遅くなってしまった。」 誰にも聞こえぬように小さく呟き、こっそりと袂に入れていた一つの折り鶴と鼈甲飴を取り出して。灯篭の中にそれを入れて、水の上へちゃぷ、と浮かせた。 「小さき不知火よ、いざ給へ。」 火が灯ると、灯篭はゆっくりと流れていった。僕の後に産まれるはずやった椿姐さんの子。僕の妹。『厘都にたゆたうすべての煙となって見ていた』のは、もしかしたらお前だったのか? この子の七つの弔いに。 お前の母さんが好きだった鼈甲飴を贈ろう。   (2020/6/4 23:54:08)

〆鯖/火津彌((終わりです!!なっっっっっが   (2020/6/4 23:54:15)

〆鯖/火津彌((蛇足解説をそのうちするかもしれません……今日はほづおうを返すんや!   (2020/6/4 23:55:07)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが退室しました。  (2020/6/4 23:55:11)

おしらせレモネード/ビナさんが入室しました♪  (2020/6/5 00:47:55)

レモネード/ビナビナの過去です   (2020/6/5 00:48:08)

レモネード/ビナ(真夏へ、真夏へ、風の流れは引き潮のように流れていくように感じた。草原の地平の奥に見えるのは、沈むと言うより、燃え尽きようとする太陽だった。)『どうした。何か、見えたのか。』「なにも、見えません。なにも……」『そうか。』(母は、厳格な人だった。短くそう切り上げ、沈黙を挟んだ。わたしは、この間が好きだった。)『なにも見えぬということは、ビナ、お前の心がそれを見るのを拒んでいるということだ。』「………はぁ…」(禅問答の様なそれに、言っている意味を少し考える。)「それは、えと、つまり、心に意識を強く持つと言うことでしょうか。」『その必要は無い。そのような事をしても、見えぬ物は見えぬ。心が受け付けないからだ。』「………」『ひたすらに見聞を広げて、そしてやっと見える物が増えていく。』「すると」『今まで思い浮かべた事もない、強い【言葉】を見つける事ができる。簡単な道理だ。』「わかりました。」(なにが簡単なのだろうか。それをどう説明しようと、難しいことは難しい。)   (2020/6/5 00:48:12)

レモネード/ビナ「綺麗です。」『………』「夕陽、わたしは、その、好きです。」『そうか。』「はい。」『そう【見える】お前の心は、きっと綺麗なのだろう。』(ただ、何より好きなのは、その母の言う、誰よりも強い言葉だった。)   (2020/6/5 00:48:29)

おしらせレモネード/ビナさんが退室しました。  (2020/6/5 00:48:32)

おしらせレモネード/ビナさんが入室しました♪  (2020/6/5 10:22:31)

レモネード/ビナ((ビナの過去です   (2020/6/5 10:22:44)

レモネード/ビナ((薪の揺れる炎は、わたしの心のようだった。)『なぁ、ビナ。』「な、なに。いきなり………」(男性にしては、高い方の声がビナに呼びかける。薪が弾けた。)『母さんと、父さんが会った頃の話だ。眠れないだろう。聞かない?。』「………うん。」(考えてみれば、そんな話はあんまり聞いた覚えがなかった。少し、ぼーっと火の粉が舞い散るのを見届けながら、父さんの話を待つ。)『あれは、本当に良い恋愛だったよ。』「旅団の中で?」『いや、元々は、僕が旅団にいたんだ。旅を続けながら。立ち寄ったとあるスラムの街に、本を持った少女がいた。』「…………」(お母様の事だろう。それを語る父の顔は、いつにも増して楽しそうだった。)『その人はね、魔術師の才能があった。そして、何より『ヨズアの民』を、自分たちを憂いていた。本だけで知った『言葉』だけで、彼女は立派に言の葉を紡いで見せたさ。』(往古から、魔力とは言葉に宿り、魔術を使う魔術師とは、言葉を知る者とされている。当時から、あの求道者ぶりが健全だったのならば、その話も無理な話ではない。   (2020/6/5 10:22:47)

レモネード/ビナ凡そ、ウェンディア辺りの本を持っていたのだろう。ヨズアの民らしい、盗んだ言葉だった。わたしは、早く刺青をして、父さんとお母様の役に立ちたいのに。お前はまだ早いと相手にしてもらえない。つい最近は、ずっとそんな焦ったい思いをしていた。)『僕は、その子のヨズアを救いたいという想いを汲み、その子を旅団に入団させた………。母さんだよ。まぁ、当時からあんな堅物って感じだったから、僕が先輩だったんだけど、いつの間にか、僕は立場が逆転してしまってね。』「あー……」(やっぱり、思った通りだった。冷えついた頬、乾いた涙の跡が残る頬に、少し笑顔が戻った。)『あっはは。そうして、二人で行動するようになって………でもね。ある日突然、旅団とは離れてしまう。あんまり、話したくない内容だから割愛するけども………旅団の意思と、僕らの意思が乖離してしまっている事に気が付いたんだ。』「………」(任務のことだろうと、予想は容易についた。)   (2020/6/5 10:23:05)

レモネード/ビナ『そこからは、あんまり僕らは、旅団には従わないようにしたんだ。その代わりに、【言葉の探究】をするようになった。前から、二人で話していたんだ。僕らは、戦ってヨズアを救うなんて立派な事は、荷が重すぎるって。魔力が宿るという言葉そのものの真髄を確かめ、総てを暴く。その追求をしていけば、いずれシュクロズアリ様がしたような、ヨズアだけの呪文を………いや、ヨズアの旧い神々を取り戻せるかもしれない。そうして、ヨズアを救いたい。そう、思ったんだ。』「……そう、だったんだ………。」(それは、とある二人の大きな決断だった。今までの常識に囚われず、ただひたすらに言葉そのものを追求する。終わりの見えない、帰り道もわからない、探究の旅。舗装された旅路だけじゃない。敢えて未走路の、草林に飛び込み、過酷な旅を選ぶ様の、なんとヨズアらしい自由意志。)   (2020/6/5 10:23:24)

レモネード/ビナ『そうして、二人で色んなところに行って、回っているうちに、僕ら二人は愛し合っていた。だから、僕らは婚約の儀を行った。二人だけの、秘密の婚儀をね。』「………なんか、素敵。本に書いてる、物語みたい………。お母様が、母上が一方的に熱を上げたと伺っていたけど。」(それを聞いた父さんは恥ずかしそうに顔を赤くさせた。炎に照らされた、オレンジ色の光でもわかるくらいに。)『そう、だったね。』「口説き落とすのに何年もかかったって。お母様、絶対言葉に嘘はつかないから………。父さん、ちょっと隠したでしょ。」『娘の前くらいカッコつかせてくれよ……ほんと、母さんに似てきたな………。』(それはわかんないけど。でも、なんだかいい話を聞いた。凄く、ロマンがあって、カッコいい恋愛を、しているなと。)「素敵だなぁ……」『そう、それ。』(わたしの言葉に、不意に食いついた。)   (2020/6/5 10:23:44)

レモネード/ビナ『感情が起こった瞬間に出た言葉に、力は宿る。喜怒哀楽、それ以外の感情もそうだ。母さんは、ローザンは、感情とは爆発で例えていた。感情も、爆発も、起こった瞬間が一番強く、後は弱まるばかりであると。その起こった瞬間に、無意識の内に口に出た言葉は、時に呪文よりも強い。人を殺す魔術にも、人を癒す魔術にもなる。その術理を修めた時こそ、探究の終わりであると。ローザンは、よく言っていたよ。』「………はい。わかりました。」(とても難しい。やっぱり、お母様の言う事は難解だけど、今初めて父さんに解説され、少し分かった気がした。そうか、確かに。面白い。それをわかる父さんも、童顔でなんかかわいい父さんも、今、最高にカッコいい言葉の探究者だった。)『そうだ。一つ、ビナに行っておきたい事があったんだ。』「う、うぇ、な、なんだろ……。」(俄かに、薪がまた弾ける。)『刺青の話さ。母さんはまだ早いと言っていたけど、次の街に着いたら、入れることにした。』   (2020/6/5 10:24:01)

レモネード/ビナ「えっ、ほんと?!どこっ、どこにするの?!」『だ、抱きつくんじゃない!母さんが起きたらどーすんのさ……!この話は、秘密だよ?』「わっ、ひ、ひみつ……?ん、わかった。」(少しくらい、はしゃいでもいいじゃないか。お母様は、夜に弱くて、起こしても中々起きないくらいに眠りが深いから、バレないでしょ。)『それでね、よく聞いてね、ビナ。』(急に、空気が重くなる。な、なに、この感じ……。父さんの言葉が急に重くなった。これは、知っている。父さんが真剣な話をする時に、こうなる。)『僕たちは、ビナの額に、僕らが今まで探究した総てを込めた刺青をしようと思っている。ローザン、母さんの決定だ。』「え、えっと………?」『これは、暗色文字でもない。既存の信仰でもない。刺青は君の『目』となることを、よく覚えておいて。君の目は『総てを見通す目』だ。だから、一から君が総てを作らなければならない。これから旅を進めて、強い言葉を自分で見つけ、それを使って呪文を紡がなければ、この刺青の意味は無い。』「そ、それって………」   (2020/6/5 10:24:16)

レモネード/ビナ(よく、わからなかった。その、言葉の意味が。)『でも、ね。ビナ、いつかは、その目を閉じなきゃいけないよ。ビナ、もし君が、自分の全てを委ねてもいいと思う人が現れたら、婚約の儀によって、その目を閉じる事になる。』(想起するのは、ヨズアの民の婚約の儀。夕陽の、赤。赤。)『その人の総てを見通す事は、きっとできないから、目を捨てるんだ。』『その事を絶対に、忘れないでね、ビナ————)『……ぇ』(な、なに………)『……メ………ェ………』(あ、もう朝か。)『メェ〜』(目が覚めると、ガフの黒い顔が目一杯に広がっていた。起きた事に気がついたガフは、嬉しいみたいにペロペロビナの頬を舐めた。)「ど、どしたのさ〜…ガフ!そんなに舐めないっ、ひゃ、ふふふっ、くすぐったいってばぁ……!………あ、……あれ?」(やだ、わたし、なんで、泣いて……)「わ………ガフ、ありがとう。涙、拭ってくれてたんだね………」(やっぱり、この子はとても優しい子だ。怖がりだけど、だからいつも誰よりも先に危険に気がついて、わたしを何度も救ってくれた。この子がいなかったら、わたしはとっくにダメになっていたかもしれない。   (2020/6/5 10:24:39)

レモネード/ビナむくりと起き上がると、欠伸をしながら大きく伸びをした。小気味いい骨の鳴る音が心地よくて癖になる。玉響の微睡。そして、横を見た。そこには………)「わ、わぁぁ…………」(言葉を失った。見事な、朝焼けだった。反対側はまだ夜で、でももう向こうは夕焼けのような烈火だった。)「もしかして、これを見せたかったの?ガフ」『メェ〜』(自慢げに、羊はのんびりと鳴いた。———なんだか、とても懐かしい夢を、見た気がする。父さんが出てきた。本当に、涙が出そうになるくらい懐かしい、追憶。)「そっか。」(朝焼けの燃える世界を賞翫する。)「大丈夫だよ、父さん、お母様。」(わたしは、ちゃんと見つけたよ。言葉を。この目の使い方を。)「『揺籠の微睡ㅤㅤ嬰児の安楽ㅤㅤ孺子の逡巡ㅤㅤ壮者の猛りㅤㅤ老輩の達観ㅤㅤ人間の断片ㅤㅤ夕陽の玉響ㅤㅤ揺らめいてㅤㅤ主は洞観すㅤㅤㅤ———ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア』」(【神はそこにいる】。私たちを、ひっそりを見つめるだけ。そんな信仰で。自分の見つけた力強い言の葉を紡ぐ。そんな言葉で。朝焼けは、瞬時、夕陽に挿げ替え。そして額の瞳は、持ち上がった前髪によって顕となった。)   (2020/6/5 10:25:01)

レモネード/ビナ「行こ、ガフ。ちょっとご飯食べてからね。」(まだまだ、ビナの探究の旅は、始まったばかり。激化し、泥沼へと沈んでいく混沌の三国。悪意、涙、憎悪、愛、戦争は人を終わらせることができるのに、人はなぜ戦争を終わらす事ができないのだろうか———)「だいじょうぶ、虹はかかるよ。」   (2020/6/5 10:25:16)

おしらせレモネード/ビナさんが退室しました。  (2020/6/5 10:25:23)

おしらせフラッペ@フィヨルドさんが入室しました♪  (2020/6/5 17:38:31)

フラッペ@フィヨルド((こっそりと…こっそりとね…!そろる…!   (2020/6/5 17:38:43)

フラッペ@フィヨルド(その日、その山は1年を通して世界で最も風が強く、荒れた空模様だった。生ける者が愚かにも足を踏み入れようものならば、たちまちに吹き飛ばされてしまうほどの。動物達は穴蔵を作って身を潜めたり、雪や地面に頭を突っ込んで、飛ばされまいと必死に抗う。だが、如何にこの険しい氷山に生息するタフネスな猛獣達と言えど、天に牙を剥くことは許されなかった。住処は壊れ、雹が舞い、動物達の身体を粉々に砕く。血が風で空へ浮かび、やがて赤氷となって再び大地を襲う。正しく、この世の地獄を体現したかのような光景だった。それでも、彼等はそこに住み続けた。それが宿命であるかのように。助けでもない、天候回復でもない、形のない何かを、ずっと待ち続けているかのように。)   (2020/6/5 17:39:18)

フラッペ@フィヨルド『………吹雪が強くなってきた。向こうの壁はとっくに壊れた。もう、この小屋ともおさらばだ。支度を…』「父上。」『……なんだ?』「何度でも尋ね申します。何故、この山を出て行かないのですか。ここは、人が住むには危険過ぎる。父上は家族とご心中したいおつもりなのですか。」『………』(父は一向に答えようとしない。荷物整理をしながらで、子には一切目もくれない。そんな夫の様子と、不満げな顔をする子の顔を見かねた母が、準備をしながら、少しずつ語り始めた。)   (2020/6/5 17:39:27)

フラッペ@フィヨルド『むかしむかし…この山には、それはそれは傲慢で偉そうな神様が住んでいました。神様は民にこう言いました。《信仰をしなければ、国はたちまちに彩を失ってしまうだろう》。神様のお怒りを怖がった民人達は、仕方なく、神様を信仰することにしました。神様は民に、いくつかのきまりを与えました。毎日毎日、朝は御山に向かっておじぎを、昼は御山に愛を誓い、夜には御山に、1日の幸福を感謝するように。もうひとつは、1年に1度、美しき女人を連れて御山に参れ、というものでした。人々は神様の機嫌をとるために、言われた通り、1年の終わりの日に、国で最も美しい人を御山に差し出しました。しかし、恐怖心で寄せ集められた美しき人達は、神様に決して良い顔を見せませんでした。29人、殺されてしまいました。そこで、神様は告げました。《最後の一人が命を絶ったなら、国はたちまちに砂になってしまうだろう》。   (2020/6/5 17:39:54)

フラッペ@フィヨルド国中の人々が、品行方正で別嬪で気の良い人を探していました。それでも、29人よりも美しい人は見つかりませんでした。結局、連れて行かれたのは、ソグネという名前の少女でした。ソグネは、人を殺した罪で明日、首を吊るされるはずでしたが、王様は罪を許したわけではありませんでした。さて、ソグネが山に入りますと、恐ろしい顔をして、神様がずかずかとやってきました。《お前がそうか》と神様が聞くと、ソグネは何も言わず、じっと神様のことを見つめて、こくりと頷きました。神様は心が読めるので、本当はとても怖いのに、全く怯えない様子でいる少女のことをとても不思議に思いました。それから、神様はソグネの事が気になって仕方がありませんでした。神様とソグネは、その日から神様のお部屋で共に暮らすことになりました。それから、長い月日が経ちまして、一年の終わりの日が近付いて参りました。神様は、ソグネにこう告げました。《お前のことを幸せにしてやりたい。我と契りを結んではくれないか》。ソグネは照れながら、弱々しく答えを告げました。その日の夜は、神様の在り方を大きく変えるものでした。』   (2020/6/5 17:40:07)

フラッペ@フィヨルド(それは、母がずっと昔から言い聞かせていた物語だった。とても古いお話で、数千ページに及ぶ分厚い本のたった数ページにしか乗らないような、知る者はとても少ない、伝説とも呼べる物語。どうしてそれを今語ったのか、子は何一つ分からなかった。さて、準備ができたようなので、一家は厚着をして、雹が降っても大丈夫なように、防具を身体中に仕込んでから、住み慣れた小屋を後にした。血混じりの雪が辺りを飛び交っている。乱方向に吹き荒れる風が、3人の足踏みを妨害し、進むべき道を惑わせてくる。子はいつも、この山に恐怖を感じていた。本当は、皆と同じように、平凡な町で家族3人、平和に暮らしていきたかった。しかしそれには、父も母もまるで耳を傾けようとはしなかった。子は、この山の事を恨んでもいた。こんな山がなければ、こんな辛い思いをしなくて済んだのだ、と、いるかどうかも分からない神の事を内心貶し続けていた。)   (2020/6/5 17:40:24)

フラッペ@フィヨルド『__________危ないッ!!!!!!!!!』「っっっっ………!!!??」(右足が宙を踏む。咄嗟に、下を見る。…何もない。そこにただ、暗闇が広がっているだけ。それでも、子にとっては、自分と家族を引き離す怪物が潜んでいるように思えた。落ちていく身体を咄嗟に掴んでくれたのは、紛れもなく父であった。父は必死の想いで子を持ち上げて、なんとか陸に引き上げる事ができた。……と、思っていた。不意に、3人の立っていた地面が崩れ落ちる。)「はっ………はぁっ、ぁ、ああ、ぁ………うわあああああ゛っ!!!!!父上っ、母上ぇぇぇっ!!!!」(唯一、二人に背中を押し退けられた子だけが、奈落の底へと消えずに済んだのだ。ただ一人、深淵を覗き絶望する者を置いて。あぁ、何故2人が死ななければいけなかったんだろう。2人はこの山を愛していたのに。何故この山は自分だけを生かしておくのだ。何故私の命をも絶とうとしないのだ。どうして、どうして、どうして。子は、喉が潰れ、肺が凍りかけようとも、構わず叫び続けた。いっそこのまま、天へと昇ってしまおうか。価値のない世には別れを告げ、こんな悲劇を忘れてしまいたい、と考えていた。)   (2020/6/5 17:40:42)

フラッペ@フィヨルド(子は暗闇の中にいた。豪雪吹き荒れる山の奥の洞窟で、痛みを抑えるように横たわり、うずくまっていた。身体に痛みはない。痛みを患っているのは、朽ちることのない、燃え尽きやしない程のぐちゃぐちゃになった心だ。子は、再び家族に会いたくて仕方がなかった。どんな事をしてでも家族に会おうと、それはもう必死に願った。あれ程恨み憎んだ山神にさえ血塗れの手を組んで、泣き叫びながら願い続けた。吹き荒ぶ吹雪の中であっても、その声だけは、確かに山中に響いたのだ。子は、どのくらい経ったか分からなくなるまで、ずっと願い続けたが、それも虚しく身体は徐々に弱っていき、死の足音を感じたが最後、目を閉じてしまった。)   (2020/6/5 17:40:56)

フラッペ@フィヨルド《_______かわいそうに、我が子よ。お前は、山でも神でもない、人を愛しすぎたのだ。しかし、それでも…………光の神よ、愛を舞え。トロンハイム、ヴェスト、ハルダンゲル、ガイランゲル、ステヴ、ネーロイ、カゥエルモ、ミーフォー、グルンダル、ソグネ……これより集うは三世の光。天穹よ、今一度神秘を垂らし、地上にこそ光を与えん。しからば、御身は汝と共に在らん事を。……降り立ちし神が名は……『フィヨルド』》   (2020/6/5 17:41:16)

フラッペ@フィヨルド『1年の終わりの日になりました。神様は、ソグネを返したくありませんでした。ところが、やってきたのは、美しき人などではありませんでした。神殿の前に並んでいるのは、王様が連れてきた兵隊達でした。兵隊達は、現れた神様とソグネに向けて、いっせいに火をつけた矢を放ちました。もちろん、神様にはまるで効きません。神様が力を振るうと、兵隊達はばったばったと倒れていきます。そんな中、1人の兵隊が放った凶弾が、ソグネの心臓をひとつきしてしまいました。ソグネは神様に笑いかけると、すぐさま息を引き取ってしまいました。   (2020/6/5 17:41:52)

フラッペ@フィヨルド神様はとてもお怒りになって、それはもう大きな声で叫びを上げました。神様に呼応するように、大地は割れ、風は激しく吹き荒れ、辺りの山はがらりと様相を変えてしまいました。兵隊達は残らずばらばらになり、神殿も跡形もなくなってしまいました。ただ、神様が抱きしめていた、少女の身体だけは無事でした。神様はそこで、初めて泣いてしまいました。神であることへの尊厳も威厳も全て投げ捨てて、ただ1人、愛を誓った人との別れを泣き叫びました。神様にはもう、世界の彩を消すことも、世界を砂に変えることもできなくなってしまいました。神様は最後に、自らの悲しみを一生忘れないように、この山を絶望の象徴に変えました。それで、山には一年中雪が降っているのです。』   (2020/6/5 17:42:03)

おしらせフラッペ@フィヨルドさんが退室しました。  (2020/6/5 17:42:36)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが入室しました♪  (2020/6/6 01:34:51)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが退室しました。  (2020/6/6 01:35:00)

おしらせしずま@オウガさんが入室しました♪  (2020/6/7 09:12:52)

しずま@オウガ無我夢中・序章   (2020/6/7 09:13:16)

しずま@オウガ「(お前は誰だ。俺の中に住まう、お前は誰だ。深い海のような眠りの世界で、それを見つけた。引きずり出してみれば、それは何かの蓋だったらしく、噴火するようにごうごうと思い出が溢れだす。…いや、思い出とは程遠い、どす黒い溶岩のようなどろどろした思い出だった。角の生え際がひどく痛む…これが、記憶を引きずり出す鍵だったとでも言うのか。…幸せな記憶の数々は、虚飾されたものであり、自らの心に、頭に、魂に刻み込まれた、呪いのような魔術という深い霧に阻まれ作り替えられたものだった。その霧が今、その強き呪いでさえも吹き飛ばす「角」というものの持つ霊力によって払われたのだった。)」   (2020/6/7 09:13:34)

しずま@オウガ((とりあえず予告的なかんじで…そんなに長くならないかもしれませんが   (2020/6/7 09:13:59)

おしらせしずま@オウガさんが退室しました。  (2020/6/7 09:14:02)

おしらせしずまさんが入室しました♪  (2020/6/10 04:35:18)

しずま「(夢は、止めどなく流れていく。)お前は国を守る戦士となるのだ。(愛に溢れて、情熱的な父の言葉だった。男なら戦士となれ、と、そう言う男気のある、黒髪黒目で右目の瞼に、昔狼に付けられたという引っ掻き傷のある熱い人だ。性格はやはり、今のオウガに似ているだろうか。怒ると怖くて、でもその怖さにも愛があって、そして力も持っていて、子供に拳なんか絶対に振らず言葉で諭し、村を襲う狼たちを薙ぎ倒していく村の英雄。しかしその漢は、英雄である前に、オウガの憧れる人だった。)」   (2020/6/10 04:35:50)

しずま「(勉強して、ご飯を食べて、剣の練習を父として、それを三周と、たまに遊んで寝て起きる。そんな毎日を、順風満帆に過ごしていた。ある日のこと、大好きな母の、クリームシチューの味が舌に染み込む昼のこと。優しく柔らかく、母らしいなとそう思わせる味だ。父と一緒に暖かいそれをごく、ごくと飲み下し、ご飯をばくばくと勢いよく食えば、)今日は土曜日!(と二人で言い、家の中にその声を響き渡らせながら、顔を見合わせて、一瞬で外に飛んでいった。母は、)あらあら。(と、赤い髪を揺らしながら、振り向いて青い双眸を扉の方へ向けると、その母性溢れる可愛らしい微笑み混じりの困り顔で、おっとりとした声を家の中に静かに響かせた。)」   (2020/6/10 04:35:55)

しずま「王都、楽しみだなぁ…(と、馬車から見える壁にうっとりとした表情で、オウガは言った。)きっと楽しいぜ!絶対ここを守ってやるとそう思うはずさ!(そのうっとりとした表情をさらに深いところへと持ち込んだのは、父のその言葉だ。恍惚は憧憬へと変わり、王都にいく楽しみが、確かに大きくなっていくのであった。)着きましたよ!(と、御者が大きい声で言う。扉を開けて馬車から降りると、そこには壁が縁取る、巨大で重々しい門が。ギギ、と音を立てながら扉は開き、その先のきらびやかな町並みを見せた。)」   (2020/6/10 04:36:20)

しずま「(ある日、父が買い物に行っている時だった。父が待ちきれなくなったオウガは、町を探検しようと路地裏へ入ってしまう。その先には、先程までのきらびやかな町とは違う、くすんだ光景が広がっていた。…いわゆる、スラム街だ。しかし、そのくすんだ闇の中で、一筋の光が1つ。そんなにも美しい少女が、ひたすらに剣…のような、長い木の枝を降り続けるという、強く素晴らしい光景を目にしたのだ。オウガはその少女に声をかけた。)ねぇ、君!(少女は長い木の枝を持ったままビックリした顔をこちらに向ける。しかしその驚きは、オウガの持つ短い木の棒を見ることで断ち切られた。)」   (2020/6/10 04:36:47)

しずま「打ち合ってみる…?(ざ、と少女は足を引き、剣を構えてそう言った。…木の枝だというはずなのに、やはり剣だと認識してしまう。それは、彼女の技量故だ。独学だというのは後に聞いた話だが、だからこそ独特で剣を感じてしまうのだろうか…強者を前にして、父という英雄の息子「オウガ」は、身震いをしていた。しかしそのオウガも負けじと幼い鬼気を放った。…両方、足が進む。どちらも、子供にしてはかなりのスピードだ。リーチを生かし、少女から見て右横腹を狙い木の枝を叩き付けた。しかしそれを受けたのはオウガの肉体ではなく、木の棒であった。)」   (2020/6/10 04:37:15)

しずま「(枝を棒で横に弾く。その隙をつき、流れるようにオウガから見て左の横腹に棒を突きつける。)…参りました。強いね、君。(少女は木の枝を持ちながら手を上げて、微笑みながら言った。)君こそ。先手を取る間合い、完璧だった。(手を差し伸べて、握手を求めた。…ひんやりと冷たく、それでいて優しい手だ。ぎゅっと握られると、改めて恥ずかしくなって、少し頬を赤らめた。彼彼女は、それを見逃さず、綺麗な微笑みを意地悪な微笑みに変えて、両手で、離さないようぎゅっと手を握った…何てことをする子供なのだ。あまりにも大人びすぎていやしないか…まぁ、そこはどうでもいい。)」   (2020/6/10 04:37:33)

しずま「おい、オウガ!(路地裏の方から、父の大きい声が聞こえた。)また、ここに来てもいいかな。(と、オウガはそう問う。それに少女は、)もちろん。そのうち、ワタシのおうちにも来てよ。(と、好意的に答えた。おうち…というのは、スラム街にあるがらくた小屋のことである。見せたいものがあるんだ、とそう言った顔は、とてもワクワクした様子だった。)うん、また来るよ!じゃ、僕はもう行かなくちゃ!(と、それだけ言い残して、オウガは路地裏の中へ消えていった。…それきり、彼女との記[ノイズ])」   (2020/6/10 04:38:18)

しずま「(5歳の誕生日…突然のことだった。自分が前千騎長である師匠に引き取られることとなったと、告げられた。優しくて美しい二人の親はその時、涙を流していた。)立派になって戻ってきてね。(と、微笑みながら涙を流す母は、慈愛に溢れた声で言った。)お国のために強くなるんだぞ!(と、力強く言葉を口に出しながら、父は、熱気に溢れた声で言った。オウガは、その暖かさを泣き笑いで返し、絶対に強くなるよと、そう口から出した。そして、その時が、来る。師匠の待つ例の馬車駅へ歩みを進めた。そのとき…夢が、途切れる。)」   (2020/6/10 04:38:38)

しずま「(そう、「夢」…それは、海の中で靄に阻まれ当てられた微かな光に過ぎなかった。)」   (2020/6/10 04:39:00)

おしらせしずまさんが退室しました。  (2020/6/10 04:39:03)

おしらせしずまさんが入室しました♪  (2020/6/10 04:39:13)

しずま無我夢中・上   (2020/6/10 04:39:35)

おしらせしずまさんが退室しました。  (2020/6/10 04:39:37)

おしらせしずまさんが入室しました♪  (2020/6/12 18:59:56)

しずま無我夢中・下   (2020/6/12 19:00:10)

しずま「(靄は消えて、その先の光に溶岩が、まだ見えていなかったどす黒く粘っこい記憶が。少しずつ照らされていく。照らされていく。やめてくれと、そう叫ぶ魂の声をもはね除けて、脳みそは躊躇なくその光を受け入れ引き入れ招き入れる…そして今、この時、光は…)」   (2020/6/12 19:00:15)

しずま「(一生暗いままで、よかったのに。)」   (2020/6/12 19:00:39)

しずま「(夢は、止めどなく流れていく。その度に、自分が誰かわからなくなる。胡蝶の夢…いや、もはや、夢見て踊る胡蝶でも、夢見て思うヒトでもない…「誰」なんだ。)お前は国を守る戦士となるのだ。(と、その言葉は、幾度となく聞いていた。愛ゆえにと、その記憶にはそう刻み込まれていた。だが。その声は、初めて聞いていた。…冷たい感情だ。あまりにも残酷で、残忍で、愛などとはかけ離れたもの。それは、「強制」だ。オウガは、赤子の時からそう言われていた。いわゆる、洗脳だ。自分との血が濃いものにのみ、「禁術」による完全な洗脳は可能。しかし物理的な洗脳を行ったのは、「死んではならない」から、そしてその考えを自然に、かつより深く脳に刻み込むためだった。)」   (2020/6/12 19:00:55)

しずま「(狂っていると、そう言えるだろう。否、それ以上にこの家族を表現できる言葉はない。「勉強」「食事」「鍛練」を三度繰り返した後、「寝て」、「起きる」。それが毎日だ。なんの異常がある?それを認識することができない。異常じゃない。普通で、凡庸で、簡単な生活だと、オウガはそう思っていた。だが、その生活を断ち切り、自分に新しい世界を見せてくれたのは、自分と10歳も年の離れた、錆色の髪と青い瞳、柔らかいまなじりの兄だ。兄は勉強をする自分を連れ出してくれた。…親は「自分」に興味がない。「鬼」に興味があるのだ。だから、終わりを告げるまでは、勉強をする自分の部屋には入ってこない。そこをついて兄は連れ出したのだ。)」   (2020/6/12 19:01:11)

しずま「(自然が微笑み、木々の喜びが聞こえてくる、静かで神秘的な森、生命が廻り、鳥たちの歌う声が聞こえてくる、雄大で美しい山、風が吹き、草たちの囁く声が聞こえてくる、心地よく広い草原、そして、勉強の時間がいつもより長い土曜日には、村の外れにある馬車駅から馬車に乗って、人海が流れ、人々のざわめきが聞こえてくる、町の明かりに照らされる王都…様々な場所に連れていって貰った。)」   (2020/6/12 19:01:38)

しずま「(初めてで、これまで新しくなることのなかったその恋は、貧民街でのこと。長い木の枝をただひたすらに降り続ける、少しべたつく黒い髪に、やつれていて白い肌にぼろ布を身に付けた少女だった。独学で「長剣」の使い方を熟知したらしい…長い木の枝を、長剣に見立てるとよくわかった。独特な剣筋だ。驚くほど鋭く、そして乱暴…木の棒だけで、人を切り裂くことができるのではないかと言うほど。)マイル!(と、そう呼んだのは、兄だった。マイルという字は兄がつけたもので、スマイルから来ているというのは後に聞いた話。そう呼ばれたその人は、とてとてと可愛らしい足音をたてながら、すぐに駆け寄ってきた。)この人がおにいちゃんの弟?(美しい顔を俯かせ、(と言っても兄から見たらだが)不思議そうにオウガを見下ろしながら言った。)」   (2020/6/12 19:01:57)

しずま「あぁ、そうだよ。(兄がマイルの頭を撫でながら言う。)なぁ、マイル。オウガ。(兄は、ずっとこうしたかったと言うように、快活な微笑みを見せ、)お前ら、友達になれよ。(オウガの方も頭を撫でた。オウガは少し混乱して、そしてマイルはというと、すごい勢いで首を縦に振り続けていた。…そして、友となったその帰り道。…世間の厳しさを、思い知らされた。突然、他の子供たちが、オウガに石を投げてきたのだ。そして、その石の盾になったのは、兄だった。ボグ、ボグ、と、肉が石を弾く音がする。オウガが、鬼であるが故だ。…決して、そこから動くことなく。暴れることなく。ただ静かに耐える…。それがどれだけ辛いことか、知らなかった訳がない。ただ、兄として佇んだだけだ。それでも兄は、オウガがマイルと共にあることを望んだのだった。)」   (2020/6/12 19:02:16)

しずま「(4歳になってのことだ。あの人と会ってから、もう一年が経とうとしていた。いつものように、木の棒で打ち合っていた時だった。…右の横腹に、深い痛みが…)…私…いや、もう繕う必要もないかな…(木の棒が横腹に突き刺さっている。どく、どくと、赤いものが溢れていた。そして、思いきり引き抜かれ、傷口に木の破片が突き刺さる。自分を刺したのも、膝を落としそうな自分を抱き締め、足に絡み着いてきたのも、その少女だった。…足に、ぼろ布のざらざらとした感覚と共に現れる固い感覚。こいつは、少女ではない…?)ボク、きみのこと、好きなの…殺しちゃいたいくらいに。ねぇ、ボクのおうちにいこ。ボクの可愛いお人形さん…(恍惚とした表情で、その幼さからは考えられないほど、「熱い」視線を放っている。またオウガも、幼いながらに博識で…その視線の意味を、ひしひしと感じていた。両者、息が荒くなる…それを止めたのは、買い物に行っていた兄だ。)」   (2020/6/12 19:02:40)

しずま「(兄は、頼り甲斐のある好青年。若いながらに村の自警団に勤め、スポーツ万能、頭脳明晰という、絵に描いたような好青年だ。村の英雄と言われる、オウガ家の「隠れ蓑」で、「良心」だ。…弟のことを見捨てられるはずのない、好青年。だから、「村の英雄」止まりだ。「国の英雄」には、なれない。)---っぁ!(枝が自分の方へ向く前に、蹴りを放った。子供で、あくまで女性と思っていた子供を、蹴る。その行為に迷いがなかったのは、愛ゆえだ…しかしそれでも、もちろん本気の力は出ない。英雄だ、弟と大差ない歳の人間に殺意を向けるのは人より難しい。しかし、人より強い勇気と弟を思う気持ちが勝ったのだ。その程よく筋肉のついた健脚が、少年を射抜く。)」   (2020/6/12 19:03:01)

しずま「(鞭が振るわれるが如く風を切る音、空気の爆ぜるような肉がぶつかり合う音、割れる氷を思わせる骨の折れる音、それが同時に生まれたように聞こえた。防ぎきれず、速すぎる足が無防備な右腕の肉を打ち、小さい子供の軽い骨が折れた。…狂ったように、その優しいはずで可愛らしいはずで美しいはずの笑顔が歪む。かわいらしい美少女の顔から一転して、苦しみに、痛みに、怒りに、憎しみに駆られた狂人の顔をしながら、彼は地面に叩きつけられた。)」   (2020/6/12 19:03:18)

しずま「あぁぁぁ痛い…痛いいいいぃぃぃ…あ、あぁ、あれ、あれが、あれを、あれのために、あれがあるから、あれのおかげで、あれとともにあるがゆえにいいいいいい!(狂ったような、いや、狂った叫び声をあげると、ぼろ布へ左腕を引っ込める。また出てきたときには、なにか、注射器のようなものを取り出していた。それをおもむろに腕の静脈部分に刺し、あられもない声を上げて、瞳から光を抜いて、何を見るでもなく視線をとにかく上へ向けて、そしてばかと大きく開けた口から舌と共に、呂律が回らないまま悶える声を出した。)」   (2020/6/12 19:03:44)

しずま「あぁ…あぁ…ははははは…ァ!(折れた腕を恍惚の表情で眺めている少年を見て、おぞましさを感じながら兄は傷ついたオウガを抱き、応急処置に回復魔術をかける。)光よ、太陽の光よ、今ここに集え。集いし光は癒しを与え、傷閉じ血塞ぎ肉繋ぐ。太陽の名の下に。(太陽の息吹とともに、光がオウガの身に落ちて、傷の跡が茶色く残ったまま、木片は弾けて傷口から吐き出され、皮と仮の肉だけで血を塞ぎ止めている状態となる。呼吸が浅い。早く、早く、早く!向かっているのは家ではなく、病院だ。…これをしたら、抜け出したことがバレてしまうのは、兄もわかっていた…それでも、大切なのは弟の命だ。…早く、病院に!)」   (2020/6/12 19:04:07)

しずま「こ、こ、か…(よたよたと、力のない足で歩き、重い引き戸を開ける。汗だらけで、口からつ、と血を出す弟を抱き、兄はここまでやって来た。人々は心配する目付きでこちらを見ている。それは瞬間、忌々しい目に変わった。それでも兄は、歩みを止めず、受付の男に)たすけてください(とだけ伝え、眠るオウガを渡すと、疲れきった体は眠ってしまった。そしてオウガを渡された受付の男は、とにかくその少年を抱き、医務室へと連れていったのだった。)」   (2020/6/12 19:04:25)

しずま「(ふと、成長痛のような横腹の痛みと小鳥たちの歌で目を覚ますと、辺りが白で染められ、いくつものベッドが並んでいる部屋にいた。…病室だ。オウガも、そのベッドの上で眠っている。どうやら、代謝を促進する魔術をかけられ、放置されたらしい。太陽が眩しい…日が射してくる窓のある方へ、首を傾けた。するとそこには、ベッドと同じ高さの椅子に座り、太陽を背負ってぐっすりと眠っている兄がいた。しかし、その佇まいに微笑みを溢したのも瞬間であった。)」   (2020/6/12 19:04:41)

しずま「(扉が蹴り開けられる音がし、二人とも、びく、と驚いて反応する。)リアムゥゥアアアアアア!(黒目黒髪の大柄な父が、開け放った扉の方から、腕を引き絞り、こちらめがけて走ってくる。…その拳を止めてくれたのもまた、兄であった。)ぐ、は…(腹に強い力を受けて、兄は嘔吐する。…それを、「鬼」とはいえまだ小さく傷も負った子供に振るおうとしていたのか。…兄とは違う、愛なき暴力。それを目の当たりにして、オウガはひどく絶望した顔になった。兄でさえもここまでなんて。自分の親が、どれだけ暴力的なのかを、本当に思い知った顔だ。だが父は、それで満足したらしく、それだけやるとふんと息を鼻から吐き、オウガと兄を引っ掴んで連れ帰ってしまった。…廊下の椅子に座る母の、心ない微笑みが、オウガにはひどく印象的であった。)」 「(そうしてオウガは、幼いながらに愛する人に全てを裏切られ、兄にも会えなくなり、埋められつつあった心に風穴が空いてしまった。)」   (2020/6/12 19:05:03)

しずま「(5歳の誕生日は、薄暗く、防音の魔術が掛けられ、「禁術」の施行準備が完全に整えられた地下室で行われた。…洗脳だ。ある日、不意に眠りの魔術がオウガの体にかけられた。眠っている間、暗闇の中を、あるようなないような意識がさ迷い、そしていつかたどり着いた時には、そこにいた。それは、四角い箱のような、簡素で、蔦の巻く石の板に上下左右を囲まれ、階段が中心にある十字架の柱と向かいになっているだけの部屋。彼とは違い、冷静さを欠いた一人の少年の、何かに防がれてごもったような声が響く。微かな光は松明と太陽。しかしその片方、自分を照らす太陽の光は、土の魔術の呪文を唱えられた瞬間、消え去った。…泣き叫ぶでもない。笑うでもない。なにも、ない。そんな顔で、オウガはその全てを見届けた。)」   (2020/6/12 19:05:24)

しずま「(二人の人間の口が開き、呪文を唱えた。)「「我が子に命ずる。」」「幸せな心を。」「強き心を。」「偽りの記憶を。」「作り替えられた記憶を。」「偽りの認識を。」「作り替えられた認識を。」「見せよ。」「聞けよ。」「「我が子の心に命ずる。新月の名の下に。」」(そう唱えた二人の魂が、少年の魂が、その身から飛び出すのが、目に見えた。その魂は、オウガの心へと入り込み、強い痛みが心臓に走った。…数分後、オウガは気付けば、泣いている兄の前に立ち、「お父さん、お母さん、いってきます。」と、言っていた。泣き叫ぶ兄を、オウガは泣き笑いで出迎えた。まるで、感動の別れと言うように。…待て、と言う叫び声を背負いまた、師匠の待つ馬車駅へと、オウガが歩を進めたところで、視界が赤くなり、記憶が、)」   (2020/6/12 19:06:29)

しずま「(止まっ…た?)」   (2020/6/12 19:06:48)

しずま「…だ…れ…だ…(止まったはずの記憶の住人が、自分自身が、目口を狂気的に赤く染めて、こちらを見て笑っている。嗤っている。…これを見ている俺は。…いたい…。僕は、私いたいは、己はいたい、我いたいは、妾はいたい、彼いたいは、いたい彼女は、あんいたいは、お前さいたいは、いたい方は、貴いたい、いたい、いたい、いたい、君は。君は。君は。君は。)」   (2020/6/12 19:07:02)

しずま「だ れ だ ?」   (2020/6/12 19:07:16)

しずま「(…あの記憶は…幸せな記憶は…妄想などという、生半可なものではない。全てが、嘘偽りだ。虚飾された幸せ。否、「新しい記憶を飾り付ける」などそんな可愛いものではない。根本から「作り替えられ」、そしてどこかに、「元の記憶を飾り付ける」というのが、本当だ。だから、本当の、元の記憶が、はっきりと、はっきりと、はっきりと、こびりついて、こびりついて、こびりついて、離れない…自分が誰なのか、わからない。そんな苦しみの、虚しさの中からはもう。)」   (2020/6/12 19:07:31)

しずま「(抜け出せや、しない。)」   (2020/6/12 19:07:45)

おしらせしずまさんが退室しました。  (2020/6/12 19:07:52)

おしらせグレー/雷鏡 ◆nm.pISImwUさんが入室しました♪  (2020/6/12 23:59:59)

おしらせグレー/雷鏡 ◆nm.pISImwUさんが退室しました。  (2020/6/13 00:02:12)

おしらせクロ:毒蛇さんが入室しました♪  (2020/6/17 01:31:24)

クロ:毒蛇( ふわり、と医務室内に窓から月光と夜風が入り込む。さらり、と紫のグラデーションで彩られた髪とカーテンがゆらりゆらりと舞う。それと同時に爽やかで優しい柑橘系の香り…。 現時刻_深夜1時。静かな医務室とも呼ばれる司祭の部屋で、1人。" 毒蛇 "の異名を持つ、とある司祭が机に向かって首を傾けながら座っていた。 毒蛇_そう、毒蛇( ガデューカ )は月明かりと机に置かれた小さな蝋燭の光しかない薄暗い部屋で、落ち着いた色合いの赤い蛇目を爛々と光らせて机にある物を見詰める。   (2020/6/17 01:33:58)

クロ:毒蛇机にあるのは、チェスの盤。 綺麗な硝子で出来たチェスは綺麗な透明のものと、少し濁った白い物があり、それらが、蝋燭の赤い光を取り込む。影がゆらゆらと動く中、瞬きをせずにじっと駒を見詰める毒蛇。 まるで、獲物を狙うかのように、瞬きもせず美しい硝子の駒を見つめ、細長い手指を伸ばして自身側にある透明な、とある駒を動かした。 かたり、と小さな音が" 2回 "鳴る。そして虫が囁くように、ぽつりと呟いた。 「 あの子達は戦線離脱、と言ッたところかね。百騎長( ナイト )。 」 _ナイトを2つ、場外に。   (2020/6/17 01:35:07)

クロ:毒蛇カチカチ、と無機質な時計の針が部屋に鳴り響く。 口元に手をよせ、ふむ、と考え込む。 _ルークが居ない。ルーク、2人の百騎長が居ないのだ。 小さくぽっかりと空いてしまった自陣の駒を眺めつつ、更に深く考えれば、闇夜も深まっていく…。 瞬きをせずにじっと盤を見詰めれば、溜息を吐きつつ、透明な駒を掴み、軽やかな音を1つ。ちらり、と駒を見詰めて一言。 「 何時になったら帰ってくるんだい?御前サンが居ないと騎士団の戦力、士気はガタ落ちだよ…千騎長( ルーク )。」 _ルークを1つ、場外に。   (2020/6/17 01:35:41)

クロ:毒蛇刻一刻と、時が過ぎていく。黒く青く、空の色が深まり、さらさらと音を立てていた風の音も静まりつつある。カーテンの揺らぎが収まる中、顔の元へと落ちてきた紫色の髪の毛を細い指で耳に掛けつつ静かに目を閉じる。 思い浮かべるのは、夢の様なものであり、現実世界の出来事で。小さくくぐもった声を漏らし、ゆっくりと目を開く。左手を伸ばして透明な駒を掴めば、小さな音が1つ。静かな部屋に響いた。 「 小さいのに良くやるよ。早く帰ってきておいで、機械技師( ビショップ ) 」 _ビショップを1つ、場外に。   (2020/6/17 01:36:15)

クロ:毒蛇戦況は最悪。毒の如く自陣が蝕まれ、まるで月夜の闇の様に、減りに減った駒達を哀れな視線で眺めれば、部屋に漂う憂鬱を吸い込み飲み込んだ。 目尻を左指で抑え込み、思考を巡らす。 _ぐるりぐるりと、世界が回るのが理ならば。私達も星の様に踊り回るのも理なんだろうね。仕方ない、嗚呼仕方ないさ。皆は星で星はいつしか流れ落ちる。希望となるか、絶望になるかなんて、誰にも分からないのさ。でも、_ ぱっと目を開き、だらしなくなっていた姿勢を正す為に座り直す。 首を回して欠けた駒が残る自陣を見れば右手を動かす。それと同時に動き出す小さな世界。 かたん、かたんと軽やかな音が流れ、重力が深まったかのように空気が重くなる。 首を何度も振り、必死に手を動かしては止め、動かしては止め_。   (2020/6/17 01:36:41)

クロ:毒蛇ついに、小さな世界が止まった。   (2020/6/17 01:36:53)

クロ:毒蛇はっと、目を開く。駒を動かしていた手指が空で止まる。手には白いクイーンが。 毒蛇の目の前にある盤は、駒が互いに減りつつも、やはり白い駒の方が多く残り優勢で。 残る透明な駒は王と女王、僧に兵。そして今、とある駒が終わりを迎えようとしていた。 ぐっと唇を噛み、目を細めて哀れみの視線を駒に向ける。そして、手にしていた白いクイーンで、とある駒を1つ、倒す。 からん、と音を立てて真横に倒れ込んだ駒。   (2020/6/17 01:38:02)

クロ:毒蛇_それは、透明で美しい…騎士団長( 女王 )だった。   (2020/6/17 01:38:26)

クロ:毒蛇なんとも哀れな事だろうか。なんという事だろうか。光り輝く太陽が退かす事の出来ない大きな雲によって隠れるなんて。美しい星が静かに落ちるなんて。 毒蛇は静かに空を仰ぎ、飲み込んだはずの憂鬱を吐き出す。ぱちぱち、と瞬きを何度もすれば、直ぐに椅子から立ち上がり窓の方へと歩き出す。その際、ちらり、とカーテンに包まれたベットを見るが、直ぐに視線を戻す。 そして窓際に辿り着けは、草が擦れる音色も、風の声も。何もかもない、静寂で包み込まれた外を見詰め、きらきら光る月星が舞い散る夜空を見上げた。 毒蛇は、窓枠によさりかかり、肘を着いて掌を顎に当てる。そして目を閉じつつ小さく口を開いた。 「 冷え、冷え、夜風…。浮かぶ、星… 」 小さく呟くようにして出てくる言葉を紡ぐ。幼い頃によく聞かされていた子守りの歌を部屋に世界に響かせる。 _可愛い小さな星の子達よ。世界で踊る駒達よ。どうか光を取り戻しておくれ。太陽の如く暖かく、月星の如く美しい者達よ、どうか。どうか_ どうか、無事で居ておくれ。どうか上手くいきますように。)   (2020/6/17 01:39:17)

おしらせクロ:毒蛇さんが退室しました。  (2020/6/17 01:39:24)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが入室しました♪  (2020/6/25 01:18:04)

〆鯖/火津彌まちがえた   (2020/6/25 01:18:16)

おしらせ〆鯖/火津彌さんが退室しました。  (2020/6/25 01:18:17)

おしらせしぃずまさんが入室しました♪  (2020/6/25 21:49:44)

しぃずま「(風に揺られる帆掛け船。まるで今の「鬼」のよう。)」   (2020/6/25 21:49:51)

しぃずま「(オウガは彼らの失踪と戦争の傷を知り、個室へ駆け込んだ。飛び込んだ。)どうして!どうしてだ…ッ!クソォッ!(暖かい声は、激しく爆発する炎の声に。帆船の部屋内でオウガは、中心に花瓶のある机を殴っていた。爆発するような音と共に、花瓶は宙に浮き、花は舞い、燃えながら落ちて、灰になって落ちて。その花を落とすまいと。その灰を溢すまいと。そう、覚悟していたのに。手は届いたはずだ。あいつらがああなる前に、どうにか気づいてやれたはずなのに。すでにひび割れていた心の器と氷のような花瓶が割れた瞬間は、同じだった。雷が落ちるように物凄い力と早さで殴られた四角い机は、ようやく自分が殴られた事に気づき、足が曲がり、机の上は亀裂が走り、かどが割れて落ちている。帆船が、少し揺れた。…空気は、鬼の形相。熱く燃ゆるようなオウガの放つ鬼気は、その威圧感で空間の空気でさえも鬼と化したのだ。息を荒げた。吸っては吐き。吸っては吐く。)フーッ…フーッ…(その怒りは、今までにないほど鋭く、自らを咎めるものだった。)」   (2020/6/25 21:50:12)

しぃずま「レフィーネ、アッシュ、ヴァンジャンス、ハーメルン…!(名を呼べば、さらに絶望は増した。全部全部全部全部、手が届いたはずのことだった。一鬼当千。千に当たる力を持った一人の鬼だ。その口は優しく、暖かく、どんな職業のどんな人々にも手向けられる、花の力。いや、違う。それはレフィーネ、貴女の持つものだ。その手は強く、優しく、灰のように仄暖かい力。いや、違う。それはアッシュ、貴方の持つものだ。その心は時に冷たく、そして鋭い、氷の力。いや、違う。それはヴァンジャンス、貴女の持つものだ。その内は、まだ幼く、雷という強い力を秘めている、雲の力。いや、違う。それはハーメルン、貴方の…いや、お前の力だ。自分の持つ力では、なかった。いつもそうだ。自分という生き物は、誰かからもらった物を使って今にいる。踏みつけて、歩いている。)」   (2020/6/25 21:50:32)

しぃずま「何が鬼だ…!何が一鬼当千だ…!俺は、俺は!(頭を引っ掻いた、ぼさぼさになった長い髪もそのままに。角に引っ掻かれ、血が滴るのもそのままに。)ただのしょうもねぇ人間だ…!(そう、叫んだ。あの暖かい声とは反対に、悲哀のこもった声で。あなたは今、どこで何をしているの?あなたは今、どんなことを思ってるの?それが聞きたかっただけなのに。それが、それだけが、聞きたかった声なのに。傷付いて、打ちのめされて、幸せを願って…どうしてそれを聞かせてくれないのだ。違う。もっと早く聞かねばならなかったはずだ。戦争の始まる前に。自分の顔をかきむしって、引っ掻かった手のひらの血を、その顔に塗りたくる。頬を赤く染めた。血で、赤く染めた。あぁ、どうせなら、血濡れて赤い自分の顔より、恥ずかしがって赤いお前達の。花と灰と氷と雲の。その顔を、大人びている。寂しそうな。子供たちの顔を。見たかったなぁ。)」   (2020/6/25 21:50:51)

しぃずま「…また、見れるはずだ。(絶望をした。後悔をした。だがそれも、希望という形を見つけようとする。そうしてオウガは強くなった。強くあれた。後悔はもうしていない。守れなかったという、自責の念を背負いながら、後悔の言葉1つ溢すことなく、ただ背負っていくことを、決めたのは自分だ。せめてもの祈りを、今ここに捧げる。)…強かに咲く花に、弱くも燃ゆる灰に、祝福を。太陽の加護があらんことを。(地面に落とした膝を立てて、手と手を合わせて、祈りを捧げた。また会える日が来るだろうか。そう、根も葉もない希望を抱きながら、祈った。あぁ、あの二人は。花と、灰は。手と手を合わせて、幸せでいるだろうか。幸せであってくれ。)」   (2020/6/25 21:51:10)

しぃずま「…疑ってしまうよ。」   (2020/6/25 21:51:32)

おしらせしぃずまさんが退室しました。  (2020/6/25 21:51:39)

おしらせヨズア戦記運営さんが入室しました♪  (2020/7/4 00:18:34)

ヨズア戦記運営-----------以下のログは一期【ヨズア戦記 魔術を紡ぐ者達】のものです。二期からも同じ部屋を使わせて頂きます。-----------   (2020/7/4 00:18:47)

おしらせヨズア戦記運営さんが退室しました。  (2020/7/4 00:18:50)

おしらせマリア/火津彌さんが入室しました♪  (2020/7/4 16:35:10)

マリア/火津彌((本部屋を見ながら運営がニヤニヤするだけ   (2020/7/4 16:35:27)

おしらせかき氷/サーマキスさんが入室しました♪  (2020/7/4 16:37:01)

かき氷/サーマキス((はじめまして…!   (2020/7/4 16:37:18)

マリア/火津彌((なんでだよwwwwww   (2020/7/4 16:37:47)

マリア/火津彌((本部屋行きなさいよあーた!!   (2020/7/4 16:37:54)

かき氷/サーマキス((人が多いですし、初日暫くは新規様にお譲りしたいな、と   (2020/7/4 16:38:34)

マリア/火津彌((うーむ、なるほどです…かき氷さんはかき氷さんで考えてくださっている…   (2020/7/4 16:42:17)

おしらせしぃずまさんが入室しました♪  (2020/7/4 16:44:00)

しぃずま((ヌ   (2020/7/4 16:44:08)

しぃずま((人増えましたねぇ   (2020/7/4 16:44:26)

マリア/火津彌((ですね!嬉しいーーーーッ   (2020/7/4 16:47:04)

しぃずま((ほんとにとっても賑わってますよね、この部屋がこれまでで一番成ってて楽しいですし   (2020/7/4 16:49:25)

しぃずま((ヨズア戦記レベルの部屋はやっぱ後にも先にも出てこないよ絶対…   (2020/7/4 16:49:59)

マリア/火津彌((ひえ、ほめすぎー!!でもほんと人運に恵まれましたわぁ   (2020/7/4 16:52:26)

かき氷/サーマキス((お出かけして参ります〜、元より少ない発言量が更に減ります〜   (2020/7/4 16:52:55)

マリア/火津彌((はーい!   (2020/7/4 16:54:44)

しぃずま((把握です!   (2020/7/4 16:55:30)

マリア/火津彌((こばたさん   (2020/7/4 17:09:07)

マリア/火津彌((のロルやば……煙のくだり(本部屋を見ていた)   (2020/7/4 17:09:20)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、かき氷/サーマキスさんが自動退室しました。  (2020/7/4 17:13:22)

しぃずま((こばたさんかっくい…まじかっくい   (2020/7/4 17:15:40)

しぃずま((おつかれさまでしたー   (2020/7/4 17:15:49)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、しぃずまさんが自動退室しました。  (2020/7/4 17:36:41)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、マリア/火津彌さんが自動退室しました。  (2020/7/4 17:44:09)

おしらせマリアさんが入室しました♪  (2020/7/5 00:52:11)

おしらせ参加希望さんが入室しました♪  (2020/7/5 00:56:15)

マリア((申し訳ない専用部屋立てます、きていただいたのにすみません。おまちください   (2020/7/5 00:56:29)

参加希望((いえ、わざわざお手を煩わせて申し訳ありません   (2020/7/5 00:57:05)

マリアhttp://www.3751chat.com/ChatRoom?room_id=690581   (2020/7/5 00:58:10)

マリア((こちらにお願い致します   (2020/7/5 00:58:20)

おしらせマリアさんが退室しました。  (2020/7/5 00:58:23)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、参加希望さんが自動退室しました。  (2020/7/5 01:28:24)

おしらせ骨牌/咲夜さんが入室しました♪  (2020/7/6 04:47:35)

骨牌/咲夜((以前、親族の話題が出ていた時に書いたソロルを消化に参りました。   (2020/7/6 04:48:09)

骨牌/咲夜(それはある夏の日の事だった。風呂桶を引っ繰り返したかのような豪雨、雲間からは光が降り注ぎ、周囲は明るいにも関わらず雨は降り頻る。可笑しな天気だ。弾ける雨粒に泥が飛び、生きものの死んだ臭いが鼻腔を満たした。通り雨だろうと民家の軒先を借りてみればどうやら先客がいたらしい。日陰に立つ男性に会釈をして豊かな白髪を飾る雨の雫を手で払っていると、はたと思い出すことがあった。どうしてこんな大事なことを忘れていたのだろう、彼は退役して久しいが位のある職を務められた人だ。自分に負けて座を追われた人でもある。そのお顔を忘れるだなんて失礼な話もあるものだ。強い苛立ちを感じながらも咲夜は穏やかな調子で先客へと言葉を掛けた)お久しぶりですね、お顔を拝見しなくなってから随分と経ちましたが、息災でしたか?(そう訊ねると、相手は驚いたような顔をして、考えるように視線を彷徨わせてから静かに告げた。)   (2020/7/6 04:50:50)

骨牌/咲夜――。(絶句した。『父は5年前に死にました』どうやら旧友だと思った相手はその人の息子だったらしい。食い入るように旧友によく似た顔を見上げていると『よく似ていると言われます』とどこか他人行儀に言われた。あの人に息子がいたのは知っている、一緒に遊んでやりたいのだが、これまでは遊ぶ時間が取れなかったと、彼は軍を離れる日、家族写真を箱に大切そうに箱にしまいながら、笑って言ったのだ。その言葉が強がりだと咲夜は知っていた。軍に未練がないわけはない、しかし派閥争いに負けた彼の椅子はもうここにはないのだ。雨があたらぬよう大切なものが詰まった箱を胸元に抱えて足早に去る、さびしそうなその背中を咲夜は軍の屋根の下から見送った。あの日も、確か夏だった。)   (2020/7/6 04:51:02)

骨牌/咲夜えぇ、必ず。(『線香をあげに来てください』という彼によく似た息子の言葉に、咲夜は魂の抜けたような声音でそう返した。彼の葬儀は何時だったのだろう、彼くらいの立場の人ならば小さくはない葬儀だった筈だ。後に残された細君の生活は大丈夫なのだろうか、彼の椅子を奪った自分には彼の家族の面倒を見る義務がある筈だった。それなのに……、亡くなったことすら知らなかった。『雨、やみましたね』そう言うと、彼は小雨のなかを飛び出していった。その背中が靄に隠れて見えなくなってしまうまで、咲夜は屋根の下から動けず、忘れていたように一歩踏み出すと引き攣るような痛みが走り、それ以上前には進めなかった。   (2020/7/6 04:51:18)

骨牌/咲夜自分の時間は止まったまま、周りの人間だけが年を重ねて死んでゆく。それを哀しく思い始めたのは最近になってからで、父の気持ちが分かり始めてきたのも最近になってからだ。咲夜の父も軍人で随分と高い役職を務めた方だったが、穏健派の筆頭としてなにものにも興味を持たず自分の椅子を守っているだけの人でもあった。一族の仕来りで長く伸ばした白い髪、心ここにあらずというような此の世にわるものを見詰めようとしない瞳。子供にも妻にも優しい人ではあったが、その優しさはどこかよそよそしくて、そんな父を人形のようで怖いと感じていた幼少期。この世に興味をもたないことが父の罪滅ぼしだったのだろうと今はなんとなくだがそう感じている。同期の桜は既に枯れ、彼らの撒いた種が入隊して、自分より早く死んでゆく。そんな姿を見ているとなんにも興味を持たず、ただ粛々と魂を持たぬ人形のように一族の頭目としての役割を果たした父の姿が正しかったのではないかと。物思いに沈んだ瞳に遠くから傘を手に走って来る家人の姿が映った、雨の中傘もささずに主人を追い掛けてくる老爺の姿。咲夜はひとつ冷たい息を溢した)〆   (2020/7/6 04:52:01)

おしらせ骨牌/咲夜さんが退室しました。  (2020/7/6 04:53:52)

おしらせ骨牌/咲夜さんが入室しました♪  (2020/7/8 21:43:21)

骨牌/咲夜((満員御礼なのでこっちで   (2020/7/8 21:43:39)

骨牌/咲夜((昨日のお返事でも書くか~   (2020/7/8 21:49:58)

骨牌/咲夜((あぁ昨日の書き出しのログ抜け落ちておる…、また消し飛んでしまったのか。   (2020/7/8 21:57:33)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、骨牌/咲夜さんが自動退室しました。  (2020/7/8 22:17:42)

おしらせ欟廼@姫蒜さんが入室しました♪  (2020/7/8 22:36:59)

欟廼@姫蒜((メインの方とっても賑わっててほっこりした、、すすすっと今日和なのです。   (2020/7/8 22:37:31)

欟廼@姫蒜((皆さんと早く成りたいのに学校に課題にと追われて全然成れないの辛い、、   (2020/7/8 22:38:59)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、欟廼@姫蒜さんが自動退室しました。  (2020/7/8 23:07:20)

おしらせマリア/ライラさんが入室しました♪  (2020/7/10 23:31:28)

マリア/ライラ((満員御礼!!ご新規さんいらっしゃったらこっちに来てもいいですよ~の意味を込めて運営入室です。しゅばっ   (2020/7/10 23:31:55)

マリア/ライラ((ROMのひとりはわたしです   (2020/7/10 23:32:09)

おしらせ骨牌/咲夜さんが入室しました♪  (2020/7/10 23:45:41)

マリア/ライラ((本部屋を眺めてほっこり。おや?骨牌さんこんばんは~!   (2020/7/10 23:45:53)

骨牌/咲夜((ROMは私でしたの意味を込めての入室です。待機させて申し訳ない   (2020/7/10 23:45:59)

マリア/ライラ((ドーナツの真ん中ください   (2020/7/10 23:46:01)

マリア/ライラ((いえいえ作業中ですのでこのままここのいようかなと思います!わざわざありがとうございますw   (2020/7/10 23:46:40)

骨牌/咲夜((ドーナツの真ん中には愛が詰まってる、はーい私もこのまま放置しておきますね   (2020/7/10 23:47:58)

マリア/ライラ((はああい 骨牌さん本部屋のほうでも色々と取り仕切ってくださり本当にありがとうございます、助かっちゃいました…!!   (2020/7/10 23:51:14)

骨牌/咲夜((いえいえー、差し出がましくってすみません!   (2020/7/10 23:55:54)

マリア/ライラ(差し出がましいだなんて‥本当に涙が出るくらいありがたいですっ…骨牌さんもお忙しいのに;;;エヴリカさんのなり楽しみにしてます!!!   (2020/7/10 23:59:40)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、骨牌/咲夜さんが自動退室しました。  (2020/7/11 00:16:23)

マリア/ライラ((こちらではお疲れ様ですっ!本部屋眺めてますね~   (2020/7/11 00:20:06)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、マリア/ライラさんが自動退室しました。  (2020/7/11 00:40:56)

おしらせマリア/由良さんが入室しました♪  (2020/7/12 20:18:46)

マリア/由良((お風呂!……余裕があれば由良のソロルを書くかもっ   (2020/7/12 20:19:13)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、マリア/由良さんが自動退室しました。  (2020/7/12 21:33:22)

おしらせクロ:クロさんが入室しました♪  (2020/7/13 21:38:14)

クロ:クロ(( 満員なのでくろはこっちにお顔出し!!   (2020/7/13 21:38:33)

おしらせしぃずまさんが入室しました♪  (2020/7/13 21:42:49)

しぃずま((わたし抜けたので席空いてますよ~い   (2020/7/13 21:43:09)

クロ:クロ(( あぇ、今晩和 ~ !!   (2020/7/13 21:45:20)

しぃずま((はよなりてえな~とおもいつつ   (2020/7/13 21:51:26)

しぃずま((サブ部屋に滞在して私腹を肥やすのじゃ   (2020/7/13 21:52:29)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、クロ:クロさんが自動退室しました。  (2020/7/13 22:05:46)

しぃずま((おつかれさまでしたー   (2020/7/13 22:06:00)

おしらせ無言時間が20分を超えたため、しぃずまさんが自動退室しました。  (2020/7/13 22:26:16)

おしらせマリア/由良さんが入室しました♪  (2020/7/16 02:56:28)

マリア/由良((さみしっ!誰も来ないだろうけどこっそり待機なのら……   (2020/7/16 02:56:44)

おしらせマリア/由良さんが退室しました。  (2020/7/16 03:09:09)

2020年06月02日 21時00分 ~ 2020年07月16日 03時09分 の過去ログ
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